太宰さんがマフィアから出て行ってくれない【文スト】

20話 〜××× End〜 ページ21

『はっ！』


目が覚めた。


此処は……私の家。三次元の。


スマホを開ける。


双黒の公式画像が私を出迎えた。


いつもならそれを見る度ニヤニヤするけど、今はそんなことしてる場合じゃない。


『トリップしてから、1日も経ってない……』


長い夢……夢じゃないけど、夢のような時間だったな……


『っそうだ！原作！」


私は本棚に飛びつき、文スト1巻を取り出す。


表紙には、いつも通り微笑みを浮かべる砂色外套の太宰さん。


良かった……


そして、黒の時代の小説を開く。


何回も読んで涙した、織田作とのページを開く。


＿＿＿「人を救う側になれ」
＿＿＿「どちらも同じなら、佳い人間になれ」


良かった……


原作が変わっていなくてホッとしたのと、別れ際の太宰さんの涙を思い出して涙が溢れてくる。


敦君に、会いたかったなぁ


乱歩さんだって、国木田さんだって、会いたかった。


中也の「2度目はなくってよ！」も見てないし。


双黒の対ラヴクラフトも見てないし。


ドストさんにも会えなかった。


でも、私は幸せだ。


『最後、太宰さんは何て言ったんだろ……』

21話 〜××× End〜 no side→←19話 〜××× End〜

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す