275話# 目の前にいる人 ページ9
その時リビングにヒロトがもう2枚タオルを持ってやって来た。
タオルを受け取り、引き続き修也の頭を拭いていく。
ヒロト「その人、大丈夫?」
A「酷い熱。でもたぶん雨のせいじゃなくて、もっと前から出てるはず」
ヒロト「あれ...もしかして豪炎寺くん?」
A「そうみたい。とりあえず水を拭いてあげなくちゃ」
ヒロト「俺、何か着替え持ってくるね」
A「あ、毛布もお願い!」
ヒロト「うん」
修也のウインドブレーカーを脱がせると、中にはぐっしょり濡れた白いTシャツ。
あたしはそれも脱がせて丁寧に体を拭いた。
ヒロトが着替えと毛布と共に2階から降りてくる。
ヒロト「あとは俺に任せて。Aちゃん、何か暖かいものを」
A「ありがとう」
キッチンに入って、沸かしてあったお湯でインスタントのコンソメスープをマグカップに注ぐ。
その間にヒロトは修也の着替えを済ませた。
濡れたタオルをソファから片付けて、改めて修也を支えて座らせる。
A「はい、これ飲んで」
修也はなんとか目を開いて、スープを一口飲んだ。
でも、すぐにソファに横になって眠ってしまった。
彼に毛布を丁寧にかけてあげる。
するとシャワーもドライヤーも済ませた緑川がリビングに入ってきた。
緑川「やー、突然の台風だな。ビックリした」
A「緑川、夜ご飯テーブルに出てるよ」
緑川「ありがとう」
食事を始めた彼に、ヒロトが聞いた。
ヒロト「緑川。どうして豪炎寺くんが?」
緑川「俺は授業が終わって大学から駅まで何とかたどり着けたんだけど、電車が止まっててさ。タクシー乗り場で並んでたら雨の中フラフラ歩いてる豪炎寺見かけて。声かけたんだ。だけどめっちゃ具合悪そうでさ」
ヒロト「え、でもどうしてあの駅の傍にいたんだろう。豪炎寺くんの大学は県外の遠い所だったはずだよ?」
緑川「俺が北海道に行っている時だったから知らなかったんだけど、豪炎寺って4月に俺の大学に編入してきたんだって。1人暮らししてるって言うんだけど、さすがに今にも倒れそうだったから一人にさせる訳にいかなくて、タクシーで連れて来たんだ」
ヒロト「なるほどね。台風も強まってきたし、今日はうちで看病してあげよう」
緑川「頼んだよ、A」
A「うん...」
目の前にいるのは豪炎寺修也。
秘密を守るために避け続けてきた人。
でもそれ以前に、1人の病人だ。
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ノコ(プロフ) - 再開、嬉しいです。ななっちさんの作品はどれも心に染みます。ありがとうございます。大切に読ませていただきます。 (2020年5月27日 1時) (レス) id: a7f52ab7e6 (このIDを非表示/違反報告)
ななっち(プロフ) - Lakeさん» こちらこそありがとうございます〜 (2020年5月26日 20時) (レス) id: 6b7ac9b579 (このIDを非表示/違反報告)
ななっち(プロフ) - ムスメ3さん» ありがとうございます! (2020年5月26日 20時) (レス) id: 6b7ac9b579 (このIDを非表示/違反報告)
Lake(プロフ) - 更新ありがとうございます〜! (2020年5月26日 20時) (レス) id: 7e7ce81c15 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - おかえりなさい (2020年5月26日 20時) (レス) id: 87b01b0a04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななっち | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/trhthe/
作成日時:2018年2月14日 23時