281話# あの時の雰囲気に ページ15
〜豪炎寺side〜
雷門中のジャージに、肩にかかった茶髪。
夜の闇の中を1人歩いているその背中を追って、俺は海辺へとやってきた。
修也「如月」
そう呼ぶと、彼女は凄みのある目で俺を振り向いた。
修也「こんな時間に1人で出歩くな」
A「どうしてここに?」
修也「...如月が1人で出て行くのを見た...だからついてきた」
静かに音を立てる波の前に立ち尽くす彼女。
風に吹かれながら眺める夜の海。
この雰囲気って...
A「ねぇ。もう帰りたくなった」
修也「!」
A「疲れた。あなたに振り回されるのも、エイリア学園と戦うのも、全部」
修也「な、何を...」
A「帰りたいの」
目を伏せて、彼女は俺の隣を通り過ぎ、森の中へと消えていく。
修也「おい...待てよ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
修也「はっ!」
ふと気が付くと、目の前には白い天井が広がっていた。
体の上には毛布が被さっている。
夢か。
夢だ。
修也「はぁ、はぁ」
Aに出会った沖縄の夢を見てしまい、全身から汗が吹き出ていた。
チラリとソファの前にあるちゃぶ台に目を向ける。
するとそこには、さっき消えたと思われたあの背中があった。
ノートパソコンの前に突っ伏して、寝息を立てている。
思わずソファの上に起き上がり、声をかけてしまった。
修也「A!」
すると彼女はちゃぶ台から頭を持ち上げた。
A「ん...修也。起きたの」
夢の中の彼女と比べて、随分大人びた顔立ち。
眠そうに目を擦りながら体温計を俺に当ててくる。
A「37.2。微熱に下がったね」
修也「...」
A「もう夕方だよ。何か食べよ?」
夕方??
荒れた空のせいで昼夜が分からない。
修也「A、もしかして俺のせいで予定が潰れていないか?」
A「学校もバイトも休みになったから平気。さっきまであたしも居眠りしてたし、大丈夫だよ」
修也「...悪いな、俺のせいで」
A「それより早く治さなくちゃだよ。その調子じゃサッカーできないでしょ(微笑)」
修也「A...」
A「食欲はある?」
修也「ああ、食べれる」
A「じゃあお粥じゃなくて普通にご飯作るね。汗かいてるから、その間にそこにある寝巻きに着替えて待ってて」
熱が下がったせいか、だんだん思考回路がしっかりしてきた。
まだAと再会したことは信じられないけど、現実味が帯びてきた。
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ノコ(プロフ) - 再開、嬉しいです。ななっちさんの作品はどれも心に染みます。ありがとうございます。大切に読ませていただきます。 (2020年5月27日 1時) (レス) id: a7f52ab7e6 (このIDを非表示/違反報告)
ななっち(プロフ) - Lakeさん» こちらこそありがとうございます〜 (2020年5月26日 20時) (レス) id: 6b7ac9b579 (このIDを非表示/違反報告)
ななっち(プロフ) - ムスメ3さん» ありがとうございます! (2020年5月26日 20時) (レス) id: 6b7ac9b579 (このIDを非表示/違反報告)
Lake(プロフ) - 更新ありがとうございます〜! (2020年5月26日 20時) (レス) id: 7e7ce81c15 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - おかえりなさい (2020年5月26日 20時) (レス) id: 87b01b0a04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななっち | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/trhthe/
作成日時:2018年2月14日 23時