健人担ですけどなにか？ Fuma.K (ページ16)

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同じマンションに住んでる彼女。

彼女を知ったのは少し昔。

イベントでハイタッチをしたとき。

『健人くん愛してます！Aっていいます！！覚えてください！！』

なんて言う声が聞こえてきて、やばいやつ来たなって思ったのが第一印象。

だけどそいつが目の前に来て目が合ったとき、俺の中で何かときめくものがあった。

透き通った綺麗な目。

サラサラな黒髪ロング。

俺の好みなメイクと服装。

童顔なのに大人びている雰囲気。

全てが俺の超絶タイプだったんだ。

そんな彼女とハイタッチをしたとき、笑顔で『これからも頑張ってください！』って言ってくれた。

彼女は中島のファン。

どうせ俺に向けたその言葉はただのお世辞だろう。

だけど俺は嬉しかった。

彼女の笑顔と手のぬくもりからは、彼女の優しさが伝わってきたから。

そして俺の心の中は今までにない感情に駆られていた。

その後のその他ファンとのハイタッチの記憶なんてほとんどない。

それほど俺は彼女のことが頭から離れなくなっていった。

名前だってはっきりと覚えてる。

"A"

またどこかで会えるかな…

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そう思っていると彼女と会える日はそう遠くなかった。

ある日、出かけようとマンションのエレベーターに乗っていたところ途中の階で止まった。

誰か乗ってくるのか…と思ってその人の顔を見た瞬間俺は固まった。

まさかここで会えるなんて。

そこにいたのは、あの日ハイタッチをしたAちゃんだった。

彼女はこっちを見るとなにも気にもせずにスマホに目を移した。

そのスマホの待ち受けに画面にあったのは中島。

さすがにあそこまで目があったのだから、俺が菊池風磨だってことに気がつくと思っていた。

だけど彼女は本当に気づいていない様子だった。

目の前にいる俺がいるのに画面の向こうの中島を見てるなんて。

俺は思い知ったんだ。

彼女の頭の中には中島しかいないんだってことを。

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でも、今日彼女を見てて改めてわかったよ。

俺は彼女自身が出す雰囲気が好きだ。

すれ違っても気づかない鈍感なところとか、からかいがいのある性格とか全てが可愛く思えたから。

中島のファンなのは気に入らないけど。

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