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【Tukasa‐side】
幼い頃、当時の年齢もはっきりしない頃、私は
けど段々大人に近付いて、言葉の深さまでも理解できるようになっていくとあそこは着々と居心地が悪く嫌いな場所へと変化していった。
思ったことを口にする、それは充分人としての強みではある。だがそれは、時と場所を弁えそして自分の言葉がどのような影響を起こすか考えられる人のみに限る。
その前提を踏まえてない輩の言葉が及ぼす影響なんて目も当てられない。
_「本当に俺なんかで良かったの?」
「俺はあと5年もしないうちに50になるおっさんで
年齢差だって一回りどころじゃない。
そんな俺で本当にいいのかって、もっとお似合いな人がって…」
『紀章さん』
「…うん、分かってるごめんね」
口の中に苦味が広がるのを感じて顔を歪めた。
ほらまただ、またあの笑顔。
困ったような寂しそうな、何より苦しそうなその笑顔。
あの場所を行った後に、たいていの人が浮かべるのがその表情。
「知ってるよ、分かってるはずなんだよ
けど不安になっちゃったから
…おれが安心したいだけ、それだけ。」
『__。』
ごめんね、と弱々しい笑顔。
……バカな私はそこでようやく気付いたのだ。
紀章さんを不安にさせたのは私だと。
自分の怒りを発散するんじゃ無くて、紀章さんにもっと自分の言うべきだったんだ。
何回繰り返すつもりだ、このバカ。いい加減にしろ。
そりゃ不安にさせるわ。なんで気付かないかなぁ
同類だ同類。お前もあいつらと。
…それが分かっただけ充分。あとは
__そこから抜け出すだけ。
パンっと破裂音がよく響いた。
鳥が一斉に飛び立って、川のせせらぎはそのまま。
頬はヒリヒリと痛んで私の名前を呼ぶ声は酷く慌てて近付いてくる、目と鼻の先にある彼の顔は表情を一転させて心配そうに覗き込んでくる
__嫌いだとか今、そんなこと言ってる場合じゃなかったのに
「司ちゃん?だいじょ……んっ」
紀章さん服の襟を引っ掴んで思い切り引いた。
近付いてくる彼の唇に自分の唇を押し当てる。勢い余って前歯がぶつかるけどそんなこと気にしてなんていられない。
押し付けた唇を離していけば、目をぱちくりとさせる紀章さんの顔が目の前に。普段の私もこんな表情してるのだろうか
『なんか、じゃないです
私は紀章さんの隣
それに私の旦那以上にイイ男なんてこの世にいないんで』
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愛夢(プロフ) - 紀章さん好きには堪らない作品ありがとうございます!!更新頑張ってください! (2023年2月6日 18時) (レス) id: 1fb4caaf97 (このIDを非表示/違反報告)
最小幹部 - Yuiさん» Yuiさん、返信大変遅くなってしまい申し訳ありません。コメントありがとうございます!マイペースに更新しているのでまた覗いて頂ければ幸いです(*^^*) (2022年2月6日 20時) (レス) id: 1b7127d9e3 (このIDを非表示/違反報告)
Yui(プロフ) - 紀章さんファンなんで小説を作成してくれてすごい嬉しいです!続きを楽しみにしてます! (2022年1月16日 13時) (レス) @page5 id: 3c14c8fbd4 (このIDを非表示/違反報告)
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