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食後にぶらぶら散歩をしながら帰る途中、
「ねえ、さっきの店員さんって…」
そう言いかけて、止めた。
なんて言ったらいいんだろ。
「あの人とも寝た？」なんて、ストレートに聞けないし。
いつもは何でもストレートに聞いちゃうのに、「寝たよ」とかサラリと答えられるのが怖いのかもしれない。
正直、実際に彼と寝た人と会いたくなかったっていうか…。
とにかく、複雑な心境なんだって。
「何？気になんの？」
私のペースに合わせてゆっくり歩いてくれながら、彼はからかうような視線を送ってくる。
「…別に」
嘘だよ。
めっちゃ気になるよ。
でも、知りたいような知りたくないような。
「Aが心配してるようなことはないって」
彼は聞こえないくらいの声で、そう呟く。
しかも、何故か口元に笑みを浮かべながら。
その満足げな横顔を、私はじっと見つめていた。
…本当に？
だってあの人は宏光のことを性的な目線で見てたし、それに２人の会話している姿は意外と美しくて、身震いするほどだったのに。
「何か聞きたいことがあるんなら聞けば？」
「別にいい」
「さっきから、超見てくんじゃん
聞きたいことがあれば聞けばいいのに」
「…宏光はさ、退屈じゃないの？今の生活」
「退屈？」
「だって、今までは自由に過ごして、奔放に遊んでたんだろうし」
「Aが思ってるようなのとは違うと思うけど」
私は大真面目に聞いてるのに、彼はくすくす笑いながら私の手を握ってくる。
しかも指の間に差し込んで、絡みつけるような繋ぎ方で。
「なんか、今までは本能のままに生きてきたって感じ
いいなと思った人とはすぐに寝ちゃうし、違うと思ったらすぐに捨てるし
人に対して執着もあまりなかったから」
なかなか重い話なのに、彼は呼吸のついでみたいにサラリと告げてくる。
「逆に今が新鮮なんだけどね
って言っても、疑り深いAには信じてもらえないかもしれないけど」
そう言いながら、意地悪くぎゅっと強めに指に力を入れてくる。
「知ってる？
幸せな時って、不安になったりするんだって
ということは、Aは今、幸せなんじゃない？」
彼のそんな大人びたそんな解釈も、なんだか気に入らないけど。
でも確かに、そうなのかもしれない。
私は幸せに慣れてないんだろうな。
でもこの手を離してしまったら、彼は簡単にどこか遠くへ行ってしまいそうな気がして。
だから私は、ただ漠然とその日が来るのを恐れてるのかもしれない。
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りたわかめ(プロフ) - 牡丹さん» ありがとうございます。更新遅めですが、また読んでやってください♪ (2021年3月8日 16時) (
レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
牡丹(プロフ) - はじめまして！オススメのところから辿り着き、一気に読ませていただきました(☆∀☆)スピンオフも楽しみにしています！！ (2021年3月8日 9時) (レス) id: 1a54c4e0e3 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - 汐里さん» 終わってしまいましたー♪続編も書きたいところなんですが、外伝書きたくなってきて、今ウズウズしてますw (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - moraさん» 終わっちゃいましたよー(/ω＼)でも外伝書きたくてウズウズしてますがwww (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - nanacoさん» ありがとうございます。けっこう長い時間がかかってしまいましたが、最後まで読んでいただけてありがとうございます♪ (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りたわかめ
| 作成日時：2020年2月15日 12時
