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「今どこにいるの！？」
早口でそう聞いてんのに、彼はのんびりとこう答えてくる。
「ムンバイ
今、現地の人と飲んでるとこ」
「…言葉も通じないのに？」
「片言の英語でなんとかなってるけどね」
…すっかり彼のペースに乗せられてしまったけど、ちゃんと言いたいことは伝えないと！
「あのね、大変なことが起きた」
「だから何？」
電話の向こうの彼はゆるゆるとした口調で、あくびなんかかましてくる。
「いつ帰ってくんの？こっちに」
「んー…、まだ決めてない
何？帰って来てほしいの？」
甘ったるい口調でそう言った彼と、
騒がしい電話の向こうで聞こえてきた女の人の声。
私との電話を邪魔するかのように、わざと聞こえるように彼を誘ってるような、カシスのリキュールみたいに甘ったるい声。
どうせ彼のことだから、向こうでちゃっかりいろんな人とmake loveを楽しんでるはずだろう。
今度の相手は男なのか、女なのか。
一気に気持ちが冷え切った私は、
「妊娠した」
冷静にそれだけを告げた。
電話の向こうは相変わらず騒がしいし、電波の状態もよくないみたいだから、ちゃんと伝わってるかどうかはわからない。
だけど、
「うん、わかった」
あっさりとした返事が返ってきて、私は静かに電話を切った。
…やっぱだめだ。
こいつは当てになんない。
やっぱりこの問題は、私一人が決めなきゃいけないことなんだ。
週末の土曜日、意を決して産婦人科の扉を開けた私は、案の定「妊娠3ヶ月」を宣告されてしまった。
わかってたはずなのに、あからさまに動揺してしまった私に、先生は静かに告げる。
「どうされますか？
結婚はされてないようですが
…手術するなら、早めに決めていただいた方が」
「手術」という言葉は私にありえないほどの衝撃を与え、先生のその後の言葉はよく覚えてない。
…やらかした。
失恋のショックで、私は道を踏みはずしてしまったみたいだ。
普段なら絶対、彼みたいな危険な男には近付かないはずなのに。
どうかしてたんだ、私は。
そのツケがこの妊娠なわけで。
フラフラと待合室と戻ろうとしていた私を、看護師が呼び止めた。
「手術の予約日はどうされますか？」
それからの記憶はほぼない。
そして私は、来週の日付の書かれた手術に関する書類と、相手に記入してもらう手術の同意書を部屋のテーブルの上に広げて、途方に暮れていた。
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りたわかめ(プロフ) - 牡丹さん» ありがとうございます。更新遅めですが、また読んでやってください♪ (2021年3月8日 16時) (
レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
牡丹(プロフ) - はじめまして！オススメのところから辿り着き、一気に読ませていただきました(☆∀☆)スピンオフも楽しみにしています！！ (2021年3月8日 9時) (レス) id: 1a54c4e0e3 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - 汐里さん» 終わってしまいましたー♪続編も書きたいところなんですが、外伝書きたくなってきて、今ウズウズしてますw (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - moraさん» 終わっちゃいましたよー(/ω＼)でも外伝書きたくてウズウズしてますがwww (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - nanacoさん» ありがとうございます。けっこう長い時間がかかってしまいましたが、最後まで読んでいただけてありがとうございます♪ (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りたわかめ
| 作成日時：2020年2月15日 12時
