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なんだか月の明るい夜だ。
いつもなら真っ暗な夜道なのに、今夜はぼんやりと明るく感じる。
スマホには、
『これから帰る』
という彼からのメッセージが届いていて。
なんだか小走りしたくなるほど、今夜は気分がいい。
きっと昨夜、彼の口から「好きな子」っていう単語を聞いたせいだと思う。
平静に流したつもりでいたけど、後からじわじわと喜びが湧いて出る。
でもやっぱり、彼の言う「好き」は軽く聞こえてしまうけど。
マンションの階段を１段飛ばしで上がっている途中、変なデジャヴを感じた。
あれ？この感じ。
チラッと見えた見覚えのあるジャケットの色。
階段を上るたびにそれは、ハッキリと形になっていき、
とうとう私は、階段の一番上の段を上りきれずに、そのまま立ち尽くしてしまった。
「A」
名前を呼ばれても、まだ動けないまま。
昨日電話があったばかりなのに、その人の存在をすっかり忘れ切っていた。
昨夜の北山くんのせいで。
「大西先生？」
わざとそんな他人行儀な呼び方をしたわけではない。
元々私は、この元彼のことをそう呼んでいた。
職場も同じだし、元教え子な私は、公私混同しないように先生呼びを徹底していたから。
「久しぶり」
ふわっと優しく笑いかけられて、正直…、心が揺れた。
だって数年前まで私は、この人のこの笑顔が大好きだったから。
「突然来てごめん
忙しいって聞いてたけど、少しだけでも顔を見たくて」
そう言われてようやく、私の部屋の前にいたその人の所まで近付いて行く。
「合鍵、返してなかったなと思って」
そう言って、私の手のひらに鍵を握らせては、
「元気そうでよかった」
と、その人は目を細めた。
なんだか、時間が一気に逆戻しされたような気持ちになる。
だって、最後に別れたのもこの場所だったから。
その時に戻ったような気がした。
あの時の私の感情が少しずつ蘇ってくる。
本当はあの時、少しだけ別れを選んだことを後悔してたんだ。
この人とこの先一緒にいることは無理だとわかっていながら、それでも好きな気持ちはまだ残っていたから。
「昨日はいきなり電話してごめん
本当はこっちに来るのは明後日の予定だったんだけど、Aに会いたくて早めに来た」
そう言われても、私は何と返していいのかわからない。
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りたわかめ(プロフ) - えりさん» ありがとうございます、多分、3ヶ月ぶりくらいに更新した気がします・・・。夏の間は死んでました(T^T) (2020年9月6日 21時) (
レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - ひろさん» 本日、移行しました！読んで頂けたら嬉しいです(/ω＼*) (2020年9月6日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - わかめさん、更新ありがとうございました。めちゃくちゃドキドキです。 (2020年9月5日 17時) (レス) id: 8591dd4797 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - 久々の更新楽しみにしてました！！楽しく読ませていただいてます(*´ω｀*) (2020年9月1日 22時) (レス) id: 57f2f46317 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - moraさん» わざわざ聞かせてみましたwwwいこう！ってwwww (2020年9月1日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りたわかめ
| 作成日時：2020年2月7日 22時
