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「いつになったらAは、俺に愚痴とか話してくれるわけ？」
「じゃあ、宏光は話してる？
私に愚痴とか」
わざと名前で呼んでみた。
そうしたら彼が怯むんじゃないかと思って。
ある意味、私からの攻撃みたいな意味も込めて。
なのに頭上から聞こえてきたのは、ありえないほど幸せそうな彼の声だった。
「いいね、名前で呼ばれんのって
さっきまでモヤモヤしてた気持ちが、Aに名前を呼ばれただけで一気に晴れたかも」
ゆっくり、噛み締めるようにそう言われたその言葉は、私の鼓膜にするりと忍び込んでは、脳内で軽く爆発する。
彼の何気ない言葉で、私は何度爆撃を受けてきたか。
それを私はいつも真正面から受け止めずに、気のせいだと流してきたけど。
最近の彼は、思わせぶりな態度から、かなり攻めの姿勢に入ってきたのもあって、今回は油断して真正面から食らってしまった。
まだ顎を私の頭に乗せたまま、彼は更に小爆弾を放ってくる。
「もっと呼んで、俺の名前
そうやって呼ばれるたびに、俺がAのものになったような気分になってくる」
私に名前を呼ばれるだけで勝手に幸せになってく彼と、そんな彼に抱きすくめられて不可抗力にも幸せを感じてしまっている私と。
もうこれは…、事実婚ならぬ事実交際状態なのかもしれない。
「付き合おう」なんてわざわざ言わなくても、もう既に付き合ってる状態、みたいな。
…だめだ！
こういう風に流されちゃうのは、何か違うんだって。
かと言って、自分から告白するつもりはまだ私にはないわけで。
なのに彼は、
「今夜は泊まってっていい？」
なんて、今まで聞いた中で最上級に甘い声で、そんなことを言ってくるわけで。
…もう、私はどうしたらいいわけ？
「とりあえず、シャワー貸して」
あっさり私を手放した彼は、まるでやることやり終えた男みたいな気怠い横顔を見せて、勝手にバスルームへ入って行く。
…やっぱ、北山くんの言動はよくわからない。
私から彼に告白してあげれば、彼は罪悪感もなく私と付き合えるんだろう。
恋人らしいことを何もしてあげられなくても、私から懇願されて付き合うことになったっていう免罪符ができて、罪悪感を抱くこともないもんね。
だけど私は、それをしてあげない。
彼がプライドなんか全て投げ打って乞わないと、私は彼のものになったりなんかしない。
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りたわかめ(プロフ) - えぴさん» ありがとうございますm(__)m (2022年1月2日 21時) (
レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
えぴ - ほんとにリアルすぎて最高です！ (2022年1月2日 18時) (レス) @page21 id: 06d564cdce (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - えりさん» 本日、移行いたしました。えりさんをドキドキワクワクさせられますように(*'ω'*) (2020年2月7日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - renaruriさん» 更新いたしました。ちょっと急展開になってるかもです(/ω＼) (2020年2月7日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - moraさん» やったー！いい感じに予想を裏切れてる？私w moraさんの予想を裏切れるよう頑張ります(*'ω'*) (2020年2月7日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2019年9月28日 20時
