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その言葉を聞いた私は言葉をなくしてしまう。
そんなこと考えたこともなかった。
１号の記憶が戻ればいいのにとは思ってたけど、そのせいで２号の記憶が消えてなくなっちゃうとか。
そんなのは私だって嫌だ。
「何でそんなこと思うの？」
…やばいな。
これ以上、口を開くと泣いちゃいそうだ。
私は勝手に、２号の裕太は何も考えてないんじゃないかとか思ってたから。
本当は、いろいろ不安なはずだよね。
「入院してた時、記憶喪失の本を渡されて
暇だから読んでたら「前の記憶を思い出した時に、記憶を失ってからの記憶が消えてしまうこともある」みたいな話が載ってたから」
そんなこと、全然知らなかった。
１号が戻ってきたら、２号がいなくなっちゃうなんて。
なのに裕太はこんなことを言い出す。
「Aさんは１号に戻ってきて欲しいんじゃないの？」
そんなの、言えるわけない。
戻ってきて欲しいとかいったら、２号はいらないって言ってるようなもんじゃん。
「試してみる？」
そう訊ねてきた裕太の目は、今まで見たこともないくらい冷酷に見えた。
試すって何を？
自分が消えてしまうかもしれないのに？
「いい、試さない」
私は首を横に振る。
「１号に戻ってきて欲しいんじゃないの？」
戻ってきて欲しいよ。
だけどそのせいで、２号が消えてしまうのは嫌だ。
１号に戻ってきて欲しいと思いながら私は、今はこのままでもいいんじゃないかとか不謹慎なことも考えてしまう。
本当は気付いてたのに、気付いてないふりをしてた。
きっと私は、２号にも惹かれてるんだ。
「俺ら、付き合わない？」
不意に裕太の口から出た言葉。
告白の言葉なのに、何でそんなに苦しそうな顔をしてるんだろう。
「Aさんは記憶を取り戻してほしいわけだし、俺はAさんが好き
お互いに利害が一致してると思うんだけど」
こんな悲しい愛の告白を、私は聞いたことがない。
裕太は何が言いたいんだろう。
私のために１号の記憶を取り戻す手伝いをしてくれるってこと？
自分を犠牲にして？
そんな提案に、私が頷くわけがないのに。
裕太は、聞き取れないくらいの声でぽつりとこう漏らした。
「Aが好き」
その言い方は、１号とよく似てて、
やっぱり２号の中には１号がいるんだなって、改めで実感した。
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りたわかめ(プロフ) - くるりさん» まだ読んでいただいてたらありがたいです。地味に更新しました(/ω＼) (2021年6月15日 22時) (
レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
くるり(プロフ) - キュンキュンしたり切なくなったりしながら読ませていただいてます!これからの展開がとても楽しみです。更新大変だと思いますが無理せず頑張ってください！応援してます！ (2020年8月19日 9時) (レス) id: e6324db40e (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - ゆりかさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます！実は本当はもっと悲しい設定にする予定だったんですが、書いてるうちにこんな感じに仕上がってしまいましたwこれからもどうぞよろしくお願いします<(_ _)> (2020年3月17日 2時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりか(プロフ) - いつもいつも楽しく読ませて頂いてます！前の記憶を覚えていないもどかしさであったり、悲しいところもあったり、キュンキュンしたり、本当に大好きなお話です！本当に面白いです！次回の更新も楽しみにしています(^^) (2020年3月9日 5時) (レス) id: 6a4601e7a5 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - みなさん» お返事遅くなりまして、申し訳ございませんでした！記憶喪失になっても、本能で好きになってしまう的な話が書きたくて(/ω＼*) (2020年1月13日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2019年10月27日 16時
