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２号の中にはまだ、１号がいるのかもしれない。
そう思ったら、もう我慢できなくなってきた。
「今から連れて行きたい場所があるんだけど、付き合ってくれる？」
せっかちな私は、もう鞄を手に立ち上がってしまう。
「いいけど」
って、裕太もついて来てくれたから、店を出た私達はタクシーを拾う。
タクシーの中、何故か私達は一言も話をしなかった。
きっと裕太も、行先の予想はついてるんだと思う。
マンションの前につけられたタクシーを降りた裕太は、黙ってマンションを見上げていた。
…見覚えある？
裕太は週の半分くらいを、このマンションで過ごしてたんだよ。
裕太が屋上だと思っていたのは、実は私の部屋についてるテラスのことで。
何故だか角部屋の私の部屋には、使いみちの不明な広いテラスがついていて、
私達はよく、そのテラスで過ごしていた。
２号が見た夢の場所は、きっとここのはずなんだ。
エレベーターに乗ったら、裕太は不思議そうな顔で辺りを見回している。
覚えてるかな。
裕太はこのエレベーターの匂いが嫌いだって、よく言ってたんだよ。
だからたまにエレベーターを使わずに、階段を上ってくる日もあったよね。
ドアの前で鍵を探していたら、裕太はやっぱり不思議そうな顔のまま。
じっとドアを見つめてる。
鞄の中に入れてあるはずのキーケースが見つからなくてゴソゴソしていたら、裕太の手が鞄の中に伸びてきた。
中のチャック付きのポケットを指さしては、
「ここじゃない？」
なんて言いながら、慌てたように指を引っ込めた。
「何でここだと思った？」
「なんとなく…」
この鞄は１号と付き合っていた頃からずっと使っていたもので、当時はこのポケットの中にキーケースを入れてた。
今はキーケースを新調して、大きくて入らなくなったから、鞄の中に無造作に入れてただけなんだけど。
さっきからずっと、無駄に背筋がぞくぞくする。
私の知ってる裕太が、すぐ近くにいるようで。
結局、鍵は鞄の底から見つかって、無事に部屋に入ることはできたけど。
ふと気付く。
…待って。
衝動的に連れてきちゃったのはいいけど、きっと部屋は散らかってるはずで。
ベッドも起きたままの状態だし、なんなら部屋着すら脱ぎ捨てたままの状態かもしれない。
「ちょっと待ってて」
裕太を玄関に残して、先に入った私は必死で部屋を片付けた。
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りたわかめ(プロフ) - くるりさん» まだ読んでいただいてたらありがたいです。地味に更新しました(/ω＼) (2021年6月15日 22時) (
レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
くるり(プロフ) - キュンキュンしたり切なくなったりしながら読ませていただいてます!これからの展開がとても楽しみです。更新大変だと思いますが無理せず頑張ってください！応援してます！ (2020年8月19日 9時) (レス) id: e6324db40e (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - ゆりかさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます！実は本当はもっと悲しい設定にする予定だったんですが、書いてるうちにこんな感じに仕上がってしまいましたwこれからもどうぞよろしくお願いします<(_ _)> (2020年3月17日 2時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりか(プロフ) - いつもいつも楽しく読ませて頂いてます！前の記憶を覚えていないもどかしさであったり、悲しいところもあったり、キュンキュンしたり、本当に大好きなお話です！本当に面白いです！次回の更新も楽しみにしています(^^) (2020年3月9日 5時) (レス) id: 6a4601e7a5 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - みなさん» お返事遅くなりまして、申し訳ございませんでした！記憶喪失になっても、本能で好きになってしまう的な話が書きたくて(/ω＼*) (2020年1月13日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2019年10月27日 16時
