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とうとう首筋まで赤くしてしまった裕太は、
「ちょっとだけ休憩」
そう言い残して、両腕を枕にして机に突っ伏してしまった。
なんか不思議。
１号の裕太はこんな風に酔っちゃうまで飲むことはなかったし、外で寝てしまうなんてこともなかったから。
やっぱり、外見は同じでも中身は違う人間なんだな…。
だけど、その寝顔は昔の裕太と全く同じなのが不思議。
３０分くらいしたら起こしてあげようと思ってたのに、１０分くらい経った頃、裕太が聞き取れないくらいの声で何かを呟く。
寝言？
何を言ってるのか聞きたくて、耳を近付けてみる。
「…A」
裕太は確かに私の名前を呼んで、そして一粒、涙を零した。
「ごめん…、A
ごめんね」
切なそうに私の名を呼んで、謝っている。
一体、どんな夢を見てるんだろう。
そのうち、自然に目を覚ました裕太は、
「もしかして俺、泣いてた？」
目を擦りながら、ため息をつく。
「最近、変な夢ばっか見るんだよね」
「今も見てた？」
「見てた」
「どんな夢？」
「なんか…、ジェットコースターみたいな夢
前半はすごい楽しくて幸せなんだけど、ラスト、どんでん返しで不幸のどん底に突き落とされる」
なんか…、難しそうな夢を見てるんだね。
こんな僅かな時間でも、そんな大変な夢を見ちゃうとか。
「話してもいい？…その夢」
神妙な表情でそう訊ねた裕太は、
「いいよ」
そう答えてあげたら、何故か悲しそうに少し目を伏せた。
「夢にはいつもAさんが出てくる
どうやら俺達は付き合ってて、夢の前半はデートとかしてて、ありえないほど幸せなのに、ラストはいつも同じ
ケンカになって、Aさんが俺の許を去っていく、みたいな」
…何それ。
それってまるで、私と１号の裕太の出来事そのものじゃん。
もう話の中盤からじわじわと涙が浮かんできて、一生懸命誤魔化すけど、裕太は心配そうに私を見つめてるだけ。
話をそらすみたいに、その夢についていくつかの質問をしてみた。
「その夢って、ラストは毎回同じなんだよね？
前半は違う感じ？」
「…覚えてない時もあるけど、場所はいつも同じかも
してることは違うけど」
「どこ？」
「なんか…、ビルの屋上みたいなとこ
そこで花火見てたり、テントとか張ってキャンプみたいなのしてたり」
それを聞いただけで私は、うまく呼吸ができなくなってきた。
だってそれ、きっと１号の記憶だよ。
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りたわかめ(プロフ) - くるりさん» まだ読んでいただいてたらありがたいです。地味に更新しました(/ω＼) (2021年6月15日 22時) (
レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
くるり(プロフ) - キュンキュンしたり切なくなったりしながら読ませていただいてます!これからの展開がとても楽しみです。更新大変だと思いますが無理せず頑張ってください！応援してます！ (2020年8月19日 9時) (レス) id: e6324db40e (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - ゆりかさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます！実は本当はもっと悲しい設定にする予定だったんですが、書いてるうちにこんな感じに仕上がってしまいましたwこれからもどうぞよろしくお願いします<(_ _)> (2020年3月17日 2時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりか(プロフ) - いつもいつも楽しく読ませて頂いてます！前の記憶を覚えていないもどかしさであったり、悲しいところもあったり、キュンキュンしたり、本当に大好きなお話です！本当に面白いです！次回の更新も楽しみにしています(^^) (2020年3月9日 5時) (レス) id: 6a4601e7a5 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - みなさん» お返事遅くなりまして、申し訳ございませんでした！記憶喪失になっても、本能で好きになってしまう的な話が書きたくて(/ω＼*) (2020年1月13日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2019年10月27日 16時
