クレームブリュレ

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北山先輩との再会から、２か月が経ち。

あれから桃は、二階堂くんと千賀くんと一緒にサークルに入って、

私は宣言通り、バイトを始めた。

桃とはあまり一緒にいる時間はなくなったけど、大学生活は少しは楽しくなってきた。

桃は藤ヶ谷先輩と毎日、一緒にランチしてるみたいだから。

私は大学でできた友達と、１号館でランチしてる。

北山先輩とは、あれから一度も会ってない。





大学の最寄り駅から２つ目の、

郊外の住宅街にある、ファストフード店が私のバイト先。

大学の多い地域なので、いろんな大学の生徒がバイトに来ている。

同じ大学の人もいるけど、院生だから接点もなくてなくて、すごく居心地がいい。

バイト先で友達もできたしね。

同じ時期に入って来た咲ちゃん。

最近はシフトも同じにして、いつも仲良くバイトしてる。






大学では作り笑いになっちゃう笑顔も、ここでは自然な笑顔になる。

「いらっしゃいませ。
ご注文お決まりでしたらどうぞ♪」

と、笑顔でカウンターに立てば。

目の前にいたのは、北山先輩だった。

先輩は一瞬、驚いたのか目を丸くして。

でも、またいつものチャラい感じに戻って、

「持ち帰りで。
ダブルチーズバーガーのセット。
飲み物はコーラで。」

と、普通のお客さんみたいに注文してきた。







ほんとだ。

何もなかったことになってるね。

先輩にとって私のことは、単なる間違いで、汚点みたいな。

そんな感じ？

やっぱり私は、深く傷ついていた。

私ってそんな存在なんだ。







私も何もなかったふりして、ドリンクを用意しながら、持ち帰りの準備をする。

「590円になります。」

一生懸命に笑顔を作って、

ようやく商品を用意できて、先輩に手渡した。

やっと、これで接客終了。

一瞬、泣きそうになった。







商品を受け取りながら先輩は、小さく呟くように私に言った。

「ここでバイトしてんだね。」

カウンター越しに目が合う。

先輩は、ちょっと目を細めるように笑って、そのまま店を出て行った。

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