29 ページ29
正直私は、そこまで深く考えてなかったんだ。
二階堂くんにそう言われて、改めて気付いた。
そっか…、１年後には私達は遠距離恋愛になっちゃうってことなんだ。
「…その公務員試験、落ちたらどうなんの？」
「落ちても帰る。
元々、そういう約束だから。」
「向こうで就職するってこと？」
まあ…、そうなるよね。
島に就職先があるのかどうかはわかんないけど。
「二階堂くんは就活するの？」
「…まあ、とりあえず。」
なんだか歯切れの悪い返事だね。
前に聞いた時は、何も決めてないっぽかったけど。
「何かやりたいことがあるの？」
そう聞いたら、二階堂くんはわざとらしく話をそらしてくる。
「それより、明日何時に起きる？
８時くらいでいい？」
なんて言いながら、わざとらしくスマホのアラームをセットして。
都合が悪くなったら、すぐこれだよ。
それに、私はすっかり油断してた。
二階堂くんとはもう何度も同じ部屋で泊まったりしてたけど、そんな雰囲気になることなんて皆無だったし。
まず私達は、キスも済ませてないから。
なのに、いきなりどういうこと！？
さっきまで普通に会話してたくせに、急に雰囲気を作ってきては、甘ったるく髪を撫でてきたりする。
…ちょっと待って。
今までにないこの雰囲気。
ちょっと前までぎこちない２人だったのに、急にこういう流れってどうなの？
そう考えてるうちにも、二階堂くんの指はゆっくりと進んでいく。
あまりにその指の動きが気持ちよくて官能的だから、気を抜いたら流されてしまいそう。
…意外に、二階堂くんは男だった。
薄明りの中、ぼんやりと見える二階堂くんの表情は、今まで見たこともないくらい大人っぽくて、それが急に怖く感じた。
だから、耳の輪郭を撫でながら首筋に降りてきた、その指を止めた。
「…嫌だった？」
突然の私の拒絶にも二階堂くんは、やっぱり優しい声で訊ねてくる。
「嫌じゃないよ。
でも…。」
「何？」
「しちゃうの？私達。」
「だめ？」
「まだキスもしてないのに？」
そう聞いたら、しばらく考え込んでから、
「…それ、重要？」
なんて聞き返された。
重要でしょ！
ありえないんですけど！
私は真面目な性質だから、そういうのは段階を踏んで順序を追っていきたいんだけど。
「だって今、Aに触りたくてしかたないんだけど。
…だめ？」
って、急に可愛い顔に戻っても、だめ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 985人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わかめ(プロフ) - にかはるかさん» そろそろ話もいい感じに入ってきました(/ω＼)今日も更新しましたので、是非、読んでいただければ幸いです(*'ω'*) (2018年4月18日 22時) (
レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
にかはるか(プロフ) - 主人公ちゃん頑張ったー！にかちゃんどうするんだろ？ラブラブになれるかなー？！ドキドキがとまりません！！ (2018年4月17日 4時) (レス) id: 3dfef49e61 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - チョコブラックさん» コメントありがとうございますm(_ _)mどちらも読んでいただけて幸せですー(*´∀`)♪ (2018年4月9日 23時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
チョコブラック(プロフ) - タマちゃんの方も読んだけどどっちも面白いし、読みやすい！ (2018年4月8日 10時) (レス) id: e5c704bd79 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わかめ
| 作成日時：2018年3月21日 4時
