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「ごめん、遅くなった。」

私が部屋にいるのを確認して、二階堂くんは蕩けそうな笑顔をみせるけど。

私はニコリともしてやらない。

「遅すぎじゃない?」

それくらいの文句は言ってもいいよね。

テレビすらないこの部屋で、おとなしく1時間以上も待ってたんだから。

「ごめんって。
駅で泣かれちゃって。」

まあ、そんなとこだろうとは思ったけど。








申し訳ないと思ってるのか、ちょこんと私の前に正座なんかしてくる。

「あんまり泣くから、とりあえず近くの公園であの子の話を聞いてあげて、納得させて終電に乗せた。」

呆れた。

終電まで一緒にいたんだ。

2時間前までお泊まりでワクワクしてた私の心は、まるで風船みたいに萎んでいく。

「…ちょっと優しくし過ぎじゃない?」

独り言みたいに呟けば、

「仕方なくね?
泣いたまま帰すとか、かわいそうじゃん。
せめて泣き止ませて、言いたいこと全部言わせてスッキリさせて帰した方がいいって思ったから。」

そんな二階堂くんの不満そうな返事も気に入らない。

「翠ちゃん何て言ってた?」

そう聞いたら、二階堂くんは口ごもる。

…怪しい。

付き合って数日でこんな感じ?

なんかもう…、前途多難でこれからの雲行きも怪しいんですけど。









「それでも俺のことまだ、好きでいていいかって聞かれた。」

ようやく二階堂くんは口を割ったけど。

それってさ…、かなりヤバい状況じゃない?

まるで、私と別れるのを待ってるって言われてるみたい。

「二階堂くんは何て答えたの?」

「断った、ちゃんと。」

「ほんとに?」

「言ったって、ちゃんと。
多分、Aを嫌いになることはないから、思ってもらっても無駄だって。」

「そうしたら?」

「また泣かれたけど、すぐに泣き止んでスッキリした顔して帰っていった。」

二階堂くんは、私をハラハラさせてばっかりだよね。

付き合って早々、こんな洗礼を受けるとは思わなかった。









「遅くなっちゃったけど、どうする?
このまま、この部屋に泊まってく?」

二階堂くんはすっかり軌道修正して、私の隣に座っては、

急に大人びた顔つきになって、私の髪にそっと触れる。

「ここに?」

「だって、これからまたAん家に行くの、面倒くさくない?」

私の返事も聞かないまま、二階堂くんはクローゼットから布団を一組取り出しては、部屋の真ん中に敷き始めた。

…待って!

今夜はここで寝ちゃうの?

付き合って初めての夜なのに!?

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わかめ(プロフ) - にかはるかさん» そろそろ話もいい感じに入ってきました(/ω\)今日も更新しましたので、是非、読んでいただければ幸いです(*'ω'*) (2018年4月18日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
にかはるか(プロフ) - 主人公ちゃん頑張ったー!にかちゃんどうするんだろ?ラブラブになれるかなー?!ドキドキがとまりません!! (2018年4月17日 4時) (レス) id: 3dfef49e61 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - チョコブラックさん» コメントありがとうございますm(_ _)mどちらも読んでいただけて幸せですー(*´∀`)♪ (2018年4月9日 23時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
チョコブラック(プロフ) - タマちゃんの方も読んだけどどっちも面白いし、読みやすい! (2018年4月8日 10時) (レス) id: e5c704bd79 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2018年3月21日 4時

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