ソクバク

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隆弘side





部屋に入ると、Aは
笑顔でこっちにやって来た。



俺の気も知らないで。








『 おかえり……どうしたの？
ほら、あのさ、今日4年記念日だよ？
お祝いしようと思って…！！ 』



隆「 どういうこと？ 」



『 え……？ 』



隆「 もしかして、浮気してる？ 」



『 してないよ！！するわけないよ！
だから今日だって… 』



隆「 ……これ見て。 」









ネットニュースの記事を見せる。



Aは驚いた顔をしていた。









『 なにこれっ…！！ 』



隆「 2人でご飯行ったの？ 」



『 違うっ…！これは、打ち上げのお店に
一緒に行っただけ！
たまたま駅で会ったから… 』



隆「 てか、打ち上げ行ったんだ。 」



『 ごめんなさい……
お世話になってるプロデューサーさんが
誘ってくれたから行くしかなくて。 』



隆「 俺との約束破ったんだ。 」



『 でも……仕事でしょ？わかってよ… 』









それは本当に仕事？



少しも下心がなかった？



俺ばっかり好きなんじゃないかって
不安になるんだよ。









隆「 コイツと寝たの？ 」



『 ……え？ 』



隆「 俺を裏切ったの？ 」



『 ……だから、そんなわけないじゃん！ 』



隆「 いつも俺ばっかり…… 」



『 私だって隆くんのこと好きだよ！
浮気なんてするわけない！ 』



隆「 じゃあ、俺のためにAAA辞めれる？ 」




『 ……え？ 』



隆「 俺、結婚したら奥さんには
完全に家庭に入ってもらいたいんだ。 」



『 え……結婚？
今は仕事が充実してるし… 』




隆「 俺は真剣に考えてたのに…
Aは本当に俺のこと好き？ 」



『 好きだよ… 』



隆「 もう、Aのこと信じられない…
……別れよう。 」









俺は、言ってはいけないことを
言ってしまった。




別れようって言えば、Aは必死に
嫌だって言ってくれると思った。




カマをかけたつもりだった。



だけど、Aは俯いて何も言わず
部屋を出て行くだけだった。





もしかして、ずっと俺のこと
重いと思ってたの？









Aは、同じ夢を追いかけてた仲間なのに。




Aは、優しいから
裏切るはずなんてないのに。









俺は最低だ。

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