そばにいる ページ2
YS「……愛してる……俺が……そばにいる。A……」
そんな言葉を言ってくれる人なんて、もう私には現れないと思ってた。
信じてきた愛情や絆なんて、一瞬で崩壊してしまうことを身をもって知ったから。
だけど。
ぎゅ……っと抱きしめてくれる腕が、そうじゃないって教えてくれている気がして。
この腕に、このまま甘えてしまいたくなる。
この腕なら、信じてもいいと思ってしまう。
……ジョンウン……
YS「……負担には、思わないで? 俺がそうしたいだけだから」
「そんな……負担、とか……」
YS「……そう? ……じゃあ、遠慮なくそばにいる」
ふわ……っと、目がなくなるような笑い方にホッとする。
でも、頷きたい気持ちはあるのに素直にそうは出来なくて。
そうしているうちにジョンウンは腕の力を弱めてしまった。
YS「なんか……ごめん。結局また、曲の話してない」
「……そうだね」
YS「じゃあ……聞く? 持ってきたやつ」
「うん」
笑顔でソファーから立ち上がって、持ってきたカバンをガサゴソと漁って。
YS「ん。これ」
キラキラな瞳で差し出されたUSB。
受け取る指が、まだちょっと震えてた。
*
その日以来、ジョンウンはまめにうちに顔を出す。
うっかり教えてしまった暗証番号は彼にとっても馴染みのある数字で。
だからと言って変えたりするのは、ジョンウンを拒否しているみたいで嫌だと思った。
そんな風に感じている時点で、私の心はジョンウンを受け入れているんだと思う。
でも、どこかでそんな感情に抵抗しようとしている自分も確かに感じている。
……おかしな話だけど、こうやって顔を合わせて、目が合うと重なる優しい唇を受け入れて。
……それなのに。
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作者名:ケイ | 作成日時:2022年2月18日 22時