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廉、と俺を呼ぶ海人の声は氷のようで。
体が強張る。
顔を上げれば、
海人はその声と同じくらい、冷たい目をしていた。
高「ねぇ、何考えてんの?」
「………なに、が」
高「紫耀のこと、振ったんだよね?」
何で、知ってるん……
頭にすぐに浮かんだ疑問は
海人の激しい視線に口にする勇気さえなくて。
それに、ジンがいつか言うてた、
俺らのこと、
メンバーやって薄々気付いてる
紫耀や俺との付き合いも長くて
カンのええ海人が気付いてへんわけがなかった。
「……振っては、ない、」
俺の小さな声に
海人の声はますます鋭くなって。
高「振って"は"ないって何?そんなん言い訳じゃん」
「………」
高「紫耀がどんな想いで廉に接してるかわかってんの?」
「………」
高「平気なわけないじゃん。自分の気持ち押し殺して、それでも頑張って頑張ってメンバーとして接してるんでしょ?」
「………っ、」
高「今何してた?膝枕?マジで意味わかんないんだけど」
海人の声が、頭に響く
がんがんと、反響する。
"もういいから"
あいつは、そう言った。
俺のことを想って、
でも、
きっと、紫耀の本音で。
きっと紫耀は、俺とおるのが辛いんや。
そう思ったら、
誰かに握り潰されるみたいに胸が苦しくなる。
俺から離れようとする度、
俺が近付いて
そやのに、超えたあかん一線を、
あいつはいつだって守ってくれて。
泣きそうな顔で笑う紫耀を思い出した。
"紫耀の笑顔が大好きやのに"
なんて、どの口で言うてんねん。
そんな顔させてんのは、俺やんか……
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高「こないだは家泊まったみたいだし」
「………」
高「まさかヤった?」
「! そんなわけ、」
高「じゃあ何しに行ったの?朝まで楽しくお喋りしてました、とか?」
鼻で笑うように口の端を歪めて問われて、
何も言われへんかった。
思い出す、あの日の紫耀の部屋
広すぎるベッド、
ぎゅっと優しく、抱きしめてくれた
額に落ちてきたキス
紫耀がどんな気持ちで、俺に接してたかなんて
わかってた、つもりやった。
でも、俺はきっと、
紫耀の気持ちの半分すら、わかってなかった。
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あい(プロフ) - 完結おめでとうございます!素敵なお話でした、(T . T)もう始終涙が止まらず、とんでもない顔でお話を読んでいました笑 久しぶりにこんな甘いお話に触れられて、幸せ者です!これからも、応援しております♪ (2022年4月29日 13時) (レス) @page29 id: 74fb46b4d8 (このIDを非表示/違反報告)
あきこ - お久しぶりです。切ない気持ちがすごく伝わってきて良かったです!2人の表情まで想像できてキュンとしました!!紫耀くんの心の広さ、見習わなくては(笑)楽しませていただきありがとうございます。 (2021年5月16日 9時) (レス) id: a6652d343c (このIDを非表示/違反報告)
こでまり(プロフ) - 本当に素敵な作品ですね。不器用な2人がお互いを思い遣るが故のもどかしさ、メンバーの愛に涙が止まらない作品です。素敵なお話ありがとうございました。 (2021年4月20日 12時) (レス) id: 47561d5dfc (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - ななみさん» コメント頂きましてありがとうございます(^^)私もじぐいわ大好きです。最後に少ーし匂わせたつもりでした笑。妄想はいくらでも出来ますがリアルのじぐいわには敵いません!こちらこそ、お読み頂きありがとうございました。新作でもお待ちしております(^^) (2021年4月16日 0時) (レス) id: f4acf235ea (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - 由夏さん» コメントありがとうございます。返信が遅くなり申し訳ありません。しょうれんはやっぱり一緒にいるのがしっくり来ますね(^^) (2021年4月16日 0時) (レス) id: f4acf235ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうみ | 作成日時:2021年1月11日 0時