家に、北山ってやつが住み着きました。

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北山side





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藤ヶ谷、ありがとう



借りた受話器を元に戻し、部屋に戻ろうとしたら





『藤ヶ谷……』





大好きな匂いに包まれた





藤｢目が覚めたら、北山がいなかった｣




『電話してて…』




藤｢……落ち着く｣




『……藤ヶ谷って、寝起き悪いよね』




藤｢んー……｣




『だから、今から言う俺の言葉も忘れちゃう？』




藤｢ん……｣






俺の頭に顎をのせる藤ヶ谷は、


んー……と唸ってる





『……藤ヶ谷、好きだよ』





自分でも驚くくらいに、声が震えていた





『ずっとずっと……好きでした』






うん、うんと唸る藤ヶ谷にはきっと届いてない





『あの時は、ありがとう』







5年前、



俺がサッカーを諦めた日


まだ高校生だった藤ヶ谷に、俺は救われた






『藤ヶ谷俺に言ってくれた……』









頑張ったね、君は凄いよって



他のやつが、俺に同情の言葉を言う中で、藤ヶ谷は俺に嘘ひとつない純粋な言葉をくれた






そんなに真剣になれるものがあっていいな



なんて、羨ましそうにする藤ヶ谷に思わず笑顔が零れた






『これからどうしよう』




悩んでた俺に






藤｢ゆっくりでいいんじゃない？君なら大丈夫だよ｣





なんて、俺の方が年上なのにさ



でも、俺なら大丈夫だよって微笑む藤ヶ谷見てたら、本当に大丈夫な気がしてさ






ありがとう、そう言おうとした時



後ろから｢藤ヶ谷ー帰るぞー！｣って声がして





藤｢じゃあ……あ｣




俺の髪に、さくらの花びらがついてたみたいで


それをとってくれた藤ヶ谷は、そのまま俺の頭をポンポンと撫でた






藤｢頑張れよっ｣







優しく笑う藤ヶ谷に、



鼓動が高鳴るのを初めて覚えた






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