おとなり (ページ3)

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北山side

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『…』

さっきまで先輩がねって

騒いでたと思ったら、急に大人しくなって

｢なんだよ、寝たのかよ｣

なんだか少し、腹が立った

あいつばかり見てるAに

｢Aにとって…俺って…｣

そんなこと聞いたって、きっと困らせるだけで

｢A…｣

君が隣に引っ越してきた時

俺は勝手にさ、

運命だって感じてた

隣で眠る君は覚えていないんだろうな

小さな頃に交わした約束

『大きくなって、またあえたら

けっこんしよーね』

小さな手と手が指切りをした

Aが言ったくせに

…なんて、子供の頃のこと

今はもう、この頃とは違くて

なんでも素直に言えたあの頃とは

怖い物知らずなあの頃とは違う

好きだよ

そんな言葉だって

Aを失うのが怖くて、結局いつも言えない

伝えるタイミングはいつでもあったのに

…無防備なやつ

俺だって一応男なんですけど？

襲われるとか、思わないわけ？

腹立つ、イライラする

キスしてやろうかと思って顔を近づけた

『…え、へへ』

『藤ヶ谷、、先輩』

「…アホらしい」

こういうやつだったなって

小さい頃も

一つ好きなものができたらずっとそれを離さなかった

馬鹿みたいに一途で、

周りの子に、お気に入りのぬいぐるみを

ビリビリに破かれてしまった時だって

泣き言言わないで、一生懸命に治そうとしていた

ちいさなその手に、沢山傷をつけて

そんなあの子を守りたかった

俺も…あの頃と

変わってないのかな

君があいつを好きだというなら

俺はまた、君を近くで見守るよ

．