‥ ページ5
＿
｢……っや！｣
キスをされた。驚いて肩を強く押す。少し離れた上林くんは、鋭い瞳で真っ直ぐ私を捉えた。
｢葵さんの本当の気持ちが聞きたいです｣
｢…え……？｣
｢住む世界が違うから、俺をすきになったら苦しいってことですよね？｣
｢……｣
｢そこに、葵さんの気持ちはありますか？｣
｢……っ｣
｢俺は、ホークスの上林じゃなくて、上林誠知として見てくれる葵さんがすきです。昔から優しく柔らかく接してくれる葵がすきです。誰にも渡したくないと思ってます｣
｢う、えばやし、くん｣
｢葵さんは、ホークスの上林じゃなくて、上林誠知のことをどう思ってますか？｣
上林誠知はただの男です、と付け足して。上林くんは困ったように笑った。その顔をみて、私は彼と向き合わなくちゃいけないと思った。
住む世界が違う、上林選手。近くにいるのは、ただの男の子。私はいったい何を見ていたんだろう。
｢わ、たしは｣
｢うん｣
｢私は優しくてかわいい、上林くんがすきです…！｣
｢…うん｣
｢だけど、目の前にいる、ちょっと強引な上林くんも…嫌いじゃないです｣
｢素直じゃねー｣
｢…っ、どっちの上林くんにも、傍にいてほしい…っ｣
無意識に流れた涙に、上林くんはキスをした。かわいい、と笑いながらキスをする上林くんは、そのまま私を抱き寄せた。
強い力で抱きしめられて、苦しいなと思う前に、愛しいなと思った。認めてしまえば、こんなにも簡単なことだったのに。
私は上林誠知がすきなんだ。
｢はー、よかった｣
｢え？｣
｢避けられて、結構凹んでた｣
｢ごめんね｣
｢さらに逃げられるし｣
｢…逃げてないもん｣
｢あ、そうなの？あまりにも遅いから、走ってんのか走ってないのか分かんなかったんすよね｣
｢………｣
前言撤回。やっぱり私はかわいい上林くんがすきです。いじわるな上林くんは、たまあにだけで充分です。
＿fin
書いててすごく楽しかった…！
みじかいおはなし、と言いつつ、少し長めになってしまいました。このふたりでもっと書けそうだけど、止まらなくなっても困るのでやめておきます＊
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aoi(プロフ) - りょうさん» りょうさま、こんばんは＊コメントありがとうございます。いつもあたたかいお言葉、本当にうれしいです。これからもそう言ってもらえるおはなしを、書いていけたらなあと思います！ (2019年11月7日 20時) (
レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)
りょう - 更新ありがとうございます。やっぱりaoiさんの文章大好きです…きゅんきゅんしながら読み返しました。これからも楽しみに更新お待ちしてます！ (2019年11月7日 1時) (レス) id: 087b3fd508 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - りょうさん» はじめまして＊こちらこそ、もったいないお言葉ありがとうございます。これからも読みたいと思ってもらえるおはなしを、描いていければなあと思います！コメントありがとうございました＊ (2019年10月23日 21時) (レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)
りょう - はじめましてaoiさんの野球選手小説大好きで、何回も読みに来てしまっています。また新しいお話を書いてくださるのを楽しみにしています！ (2019年10月23日 16時) (レス) id: 087b3fd508 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます＊気が向いたら、おはなしを思いついたら、書きたいなあとは思っています。はっきりと言えませんが、また遊びにきてくれると嬉しいです＊ (2019年7月30日 22時) (レス) id: 3dc625fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aoi | 作成日時：2019年2月18日 23時
