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6話 ページ6

姿を消した訳では無い。


予備動作で気を逸らした、それだけだ。


要は伊月の視野の広さを利用した。


そこから後藤は火神にパスを出すと、土田と向かい合う。



「不思議だな」


「純粋にバスケしてるだけですけど」



そこから火神がシュートを決めた。


ナイシューと声をかけながら後藤は、小金井の前に向かった。



「後藤が敵じゃなくて良かったよ」


「……ふふっ」



後藤は笑った。いつもと変わらない表情で。



「キセキの世代は、自分と同格。
耐えてくださいよ、本番では」


「え?」



後藤はそう言うと、小金井から外れて日向のブロックに飛んだ。


今度は前から。



「こいつっ!」


「そんじゃ飛ばしますよ!」



そう言って後藤は既に走っていた黒子にパスを回す。


後藤は走らずただ見ているだけ。


案の定、降旗のパスは伊月にスティールされ、やって来た。



「一本!!」



伊月の通る声で二年達が攻めてくる。


それに後藤はセンター付近で待ち構える。



「ほら、来てくださいよ」



後藤の威圧感に、水戸部はパスを出せる相手を探す。


そして黒子のガードを抜いた土田が来てくれたが、それよりも先にボールが無くなっていた。



「!?」


「後藤だ!」


(後藤はパス先を探す水戸部のほんの一瞬の隙を突いた。
それが一瞬だったから水戸部も咄嗟に反応できなかった)



伊月は後藤と並びながら先程の状況を思い返す。


よくよく考えてみれば、彼がゲームに入っている間はこちら側の得点が少ない。


ボールカットもパス回しもブロックもドライブも、全て一人でできてしまう天才一人がいるから。


伊月が自分を気にしているのに気づいた後藤は笑う。



「どうして自分がキセキの世代と謂われなかったのか、が気になるようですね」


「そうだな、お前のそれだけの能力があれば、確実に並んでただろ」


「簡単な話ですよ。
緑川中は東京都内にある学校です。帝光中も東京都内にある学校です。
天才一人と凡人四人の学校が、天才五人と六人目が居る学校に、どうやったら勝てるんでしょうかね?」


「っ」


「言ったでしょう、同格だって。
仮に自分が帝光中なら確実にキセキの世代にカウントされてますよ」



自信満々の彼に伊月はコメントに悩んだ。


だが、それを黒子が認める。



「間違いなく、彼が帝光中に居たのなら、キセキの世代として謳われていたと思います」



誰よりも間近でキセキの世代を見た黒子の一言は、重く響いた。

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美園(プロフ) - 更新ありがとうございます!めっちゃ好きです (1月2日 18時) (レス) @page42 id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
こと(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!続き待ってます!! (12月27日 10時) (レス) @page41 id: 8bdd3d2cd9 (このIDを非表示/違反報告)
メンヘラ君。(プロフ) - 夢主君かっこいいですね!更新楽しみにしてます!無理せず、がんばってください! (2023年3月31日 22時) (レス) @page10 id: 49ed8a4d79 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:塩こんぶ | 作成日時:2023年3月18日 23時

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