26話 ページ26
その日の夜、後藤は近くのストバスコートに呼ばれてやって来た。
「こんな時間に呼び出すなんて、何考えてるのさ、青峰大輝くん」
その相手とは、キセキの世代の天才スコアラーと呼ばれている人物。
青峰大輝だ。
「そっちはどうなんだよ」
「なーんも」
「……そうかよ」
後藤はパーカーのポケットに手を入れて、車止めのポールに腰を落とした。
少しの沈黙。
こうして会うのは久しぶりだった。
「緑間とはどうなんだよ?」
「さぁ?
その前に正邦の津川も居るから、もしかしたらそこでやられるかもね」
「テメェは出ねぇのか」
「ちゃんと出るよ。
一応、自分の目的は無名の学校を知らせるってのが目的だしね」
後藤はコートのフェンスに凭れている青峰を見上げた。
「それで、そっちはどうなの?」
「はっ、余裕だわ」
「桜井くんが優秀なんだっけ?」
「良のこと知ってんのか?」
「もちろん。
中学の時彼の学校と当たって、みんなほどじゃないけど叩き潰したよ」
「性格悪ぃな相変わらず」
「111対11、なんて意味の分からないスコア叩き出した君らより全然マシだよ」
二人はそう言って顔を逸らし、荒れたコートを見た。
このコートはもう二年前に閉鎖されたコートで、未だにコートは残っているものの、リングは取れて、板はボロボロで寂れていて。
もう片方のゴールは無かった。
「まだ、兄貴のこと根に持ってんのか」
「……あんなん、持たない方がおかしいだろ」
青峰の問いかけに答えた後藤は、いつもと違う声色で告げた。
このコートには二人しか知らない何かがある。
そもそも、どうして二人が繋がっているのか。
「取り敢えず、俺らの関係は秘密なんだろ」
「秘密もクソもないよ。
俺とお前は他人だ。関係なんてこれっぽっちもない」
立ち上がった後藤を、青峰は気だるげに見下ろした。
態度ではなく、物理的に。身長差は仕方ない。
「ただ、あの事故があった時に、ここに居たのが俺たちだっただけだ」
「はっ、口調戻ってんぞ」
「……」
後藤はそのままコートを出ていく。
青峰も立ち直ると、後藤とは正反対の道を歩いた。
「負けんなよ」
その言葉を残して、二人は違う道を歩いた。
309人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美園(プロフ) - 更新ありがとうございます!めっちゃ好きです (1月2日 18時) (レス) @page42 id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
こと(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!続き待ってます!! (12月27日 10時) (レス) @page41 id: 8bdd3d2cd9 (このIDを非表示/違反報告)
メンヘラ君。(プロフ) - 夢主君かっこいいですね!更新楽しみにしてます!無理せず、がんばってください! (2023年3月31日 22時) (レス) @page10 id: 49ed8a4d79 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:塩こんぶ | 作成日時:2023年3月18日 23時