14話 ページ14
走り出してからというものの、火神と後藤のペースはかなり早かった。
意外にもその次を伊月が走っていて、最後尾に黒子というのはいつもの事だったが、時間制限があるというのもあり、普段よりもハイペースだった。
「はえぇよ後藤!」
「時間制限あるからね」
後藤は余裕そうに火神を抜くと、そこからはあっという間で。
最後尾の黒子が着く頃には八分だったが、後藤のタイムは二分半。
「まだ本気じゃないですけど良い具合じゃないですか」
「お前、あれで本気じゃねぇのかよ!」
2位の火神は2分54秒、3位の伊月ですら2分59秒とギリギリだった。
ため息を吐いた後藤は汗すらかいていなかった。
息切れもしていない。
「後藤くん、化け物ですか」
「体力お化けなのは認めるよ。
じゃなきゃ帝光中の天才二人に五点差まで詰めてないって」
「五点差……?」
黒子は顔を上げた。
二人にしか伝わらないそれ。
黒子の方には驚愕の表情なのに対して、後藤は余裕そうだった。
「バスケ一人でプレイしてる雑魚に負けてらんないって話だよ」
後藤は笑うと黒子の肩を叩いた。
「自分は天才だから、パスを繋がせなかっただけだけどね」
「どういう……」
「彼が君と繋がってたら圧勝してたと思うけど、彼は自ら仲間を捨てた」
後藤はいつもと変わらない表情を浮かべたまま告げる。
「バスケなんて、一人でやるスポーツじゃないからね」
きっと誠凛で一番強いのは後藤だ。
それこそ一人で戦っても勝てるくらい強い。
だが彼は一人では戦わず、誰よりも仲間を意識している。
「自分なら誰よりも上手く彼らを使えるのにね」
しかし、あくまでもそれは駒として。
誰にも後藤の考えていることは分からなかった。
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美園(プロフ) - 更新ありがとうございます!めっちゃ好きです (1月2日 18時) (レス) @page42 id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
こと(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!続き待ってます!! (12月27日 10時) (レス) @page41 id: 8bdd3d2cd9 (このIDを非表示/違反報告)
メンヘラ君。(プロフ) - 夢主君かっこいいですね!更新楽しみにしてます!無理せず、がんばってください! (2023年3月31日 22時) (レス) @page10 id: 49ed8a4d79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:塩こんぶ | 作成日時:2023年3月18日 23時