95．見とれたもの ページ5
ダンスナンバーの曲が数曲続き、センステから全員でメンステに移動し、ニノだけがそのままセットの階段を登っていく。
そう。次の曲はニノのソロからの歌い出しだ。
セットの高い位置に移動するため、少し多めの階段がある。
いつもは、駆け足で2段飛ばしとかする勢いで登っていくが、今日はやけに慎重に歩いている。
イントロの出だしに間に合わないんじゃないかってちょっとヒヤヒヤした程だ。
しかしそこはタイミングをきちんと合わせていて、俺は正面を向いているのでバックに設置されている小さいモニターでそれを確認していた。
「〜〜♪〜♪」
ニノの歌声が会場に響いていく。
…ん？
俺はまたちょっと違和感を感じていた。
いつもより息継ぎが多いような…？
しかし見せ場の高音ボイスもロングトーンも、何なら顔にかかった乱れた前髪もちょっと虚ろ気味な瞳も総じて二宮和也の色っぽさを演出していた。
…すげぇ…
俺は自分のパートをもう少しで入り忘れてしまいそうになる程、ニノに見とれていた。
再び暗転。
皆で散々練習した暗転の移動をこなし、俺は階段を降りて移動する。
「…っと…」
俺一人を照らすピンスポットのせいなのか、階段途中で少し目の前が霞む。
あ、危ねぇ…
こんなとこで階段から落ちでもしたら偉いことになる。
俺は転ばないようにゆっくりと慎重に階段を降りていく。
無事に階下に到着し、ジャケットを脱いでペットボトルの水を一口飲んだ。
その時、
「っ…くしゅっ…」
俺は我慢できなくてくしゃみをしてしまった。
水を飲むのに上を向いた時に照明が目に入ったからなのか、急にジャケットを脱いで寒くなったからなのか、はたまた両方が理由なのか…
幸い咄嗟にマイクは抑えたし(こういうの、我ながら職業病だと思う…)、会場は俺がピアノの演奏をする事がわかってザワザワと雑音が多くあり、誤魔化せたようだ。
まだ鼻は刺激に対して敏感になっているようでムズムズしていて、息を吸っただけでもまたくしゃみが出そうだったが、時間の関係もあり、俺は意を決してピアノの前に座った。
いつもは開演前のルーティンでピアノの練習をしてから本番を迎えるが、今日は寝ていたので全く触っていない。
「ふぅ…」
俺は小さく息を吐くと、勢い良く弾き始めた。
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ゆり(プロフ) - もふもふもふもさん» コメントありがとうございます！昔の作品も読み返してくれていたんですね、嬉しすぎます( ；∀；)これからも細く長く続けていけたらと思いますので、よろしくお願いします♪ (2020年12月28日 21時) (
レス) id: 505fb463c6 (このIDを非表示/違反報告)
もふもふもふも - 更新ありがとうございます（^人^）ゆりさんの作品がお気に入りで更新されるまで昔の作品を読みなおしたりしてました!これからもゆりさんのペースで更新頑張ってください ファイトです*\(^o^)/* (2020年12月28日 15時) (レス) id: feaa44eb2b (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - あんずさん» あんずさん、コメントありがとうございます！ニノって喋り口調が独特なんで書いてて楽しいんですよね。しんどくて脂汗かきながらも口元は涼しく笑みを浮かべるイメージです！(笑)今後ともよろしくお願いします(* ´ ▽ ` *) (2020年11月15日 22時) (レス) id: 505fb463c6 (このIDを非表示/違反報告)
あんず(プロフ) - あとちょっとだったのにな、って薄笑いするところが好きすぎて、またコメントしてしまいました… 気付かれたくないのもとっても可愛いです。更新ありがとうございます！ (2020年11月15日 19時) (レス) id: b23ea6b68a (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - あんずさん» あんずさん、コメントありがとうございます〜！全然更新できていない間も、読み返してくれてたなんて嬉しすぎます！細く長く続けられたらと思いますので今後ともよろしくお願いします(* ´ ▽ ` *) (2020年11月8日 18時) (レス) id: 505fb463c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆり
| 作成日時：2020年6月4日 12時
