１８話 大切な兄 【作哉】 ページ19
「……ヤバい、寝過ぎた」
私は、目を擦り体を起こした。部屋には、光が差し込んでいて部屋の時計は朝の七時を指していた。カーディガンを羽織り、自室から出た私は、尊の部屋を覗いた。
間抜けな顔をして幸せそうに寝ている尊の姿が確認できた。鼾をかいて寝ている辺り相当疲れているんだなと思う。目の下には隈ができている。だが、何処か清々しいような顔をしている。
「ほんと、幸せなやつ」
私は、笑いながらも彼の頭を撫でてフッと微笑む。
なんだかんだ言って、私のお兄ちゃんだし。馬鹿で、どうしようもないけれど、尊がいないと、いなければきっと、ここまでやっていけなかったとは思う。
彼が起きる前に、私はリビングに行きキッチンへと足を運ぶ。
ホットケーキミックスと牛乳、卵とボールに入れてホットケーキを作ることにした。尊が起きて何もないんじゃ可哀相だから。まあ、あの調子だと昼間で跳ねていそうだな。
大学のレポートも書き終えているし、あと少しの冬休みを満喫しなければそんである。後、安室さんに近づいて兄の天使？よりも先に恋人になる。
今年の目標だな。
「よし。完成」
メープルシロップはお好みでかけてもらうためにラップをしてその隣に置いておいた。おきたら、電子レンジでチンして食べてもらえば良い。
私は、エプロンを外して服を着替え出かける支度をする。何処に行くって勿論、ポアロ。コナン君から聞いたら明日十時ぐらいからバイトはいってるって聞いた。
今行きますよ。私の王子様。
いってきます。と小さな声で挨拶し、私は家を出た。
今日は、お兄ちゃんとも少しは仲直りできれば良いと願い、また、安室さんと進展することを期待している。
「ふっふふーん♪」
鼻歌交じりでスキップしながら私はポアロへと向かう。行き交う人は私を見るなり、「何やってんの？」的な視線を送る。まあ、関係ないよ。
カランコロンと、ポアロの扉を開けて中へ入る。
思った通り、安室さんはまだいない。だって、まだ９時だもん。支度とか、ホットケーキ作りで二時間とられたから、って長過ぎか。
私は、安室さんが来るまでポアロの中で待つことにした。すると、店のベルがなり、眉毛の可笑しい人が入ってきた。タケノコみたいな眉毛で、眼鏡かけててスーツ着てる。
その人は、私から距離をとって座った。
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