１０話 実は知らないんだよな 【蔵人】 ページ11
「・・・ここで何してる。」
「降谷さん待ちしながら論文作成デス！」
冬空の下だと指先かじかんで打ち損じ凄い！
手袋してると隣のキー押すし困った困った。
「俺に何か用でもあるのか。」
「好きな人に会うのに用件が必要ですか？」
「君みたいのをストーカーと言うんだろうな。」
「嫌だなぁ、ハンターです。愛の！」
俺の把握してる一番の角度でキメたんだけど、
あっさりスルーして警察庁入って行った。
さて続き続き。
入り待ちから出待ちにシフトしたけど、
日が暮れてきたな。
早く帰らないと夕飯食いっぱぐれるからな。
今日会えただけでも良しとするか。
作成した論文を保存してお片づけ。
「ひぇっぷし！」
「まだ居たのか。」
「もう帰りますよ。降谷さんお疲れ様でした。」
「なぁ、君のご両親は亡くなったのか？」
「ええ、死んでますよ。」
と言っても気付いたら火葬まで終わってたから
死因が何で死んだのか知らない。
何で最後の挨拶もさせて貰えなかったか、
当時の俺は両親の職業知ってただけに大人しくしてた。
「事故か？」
「それ教えたら付き合ってくれます？」
「君なぁ・・。」
「俺、目的の為なら手段選ばないんで！
っと、そろそろ妹にしばかれるんで帰りますね！」
料理壊滅してる俺の代わりに作ってくれてるのに
待たせたらマズイでしょー！
帰宅中ふと感じる視線。
親が死んでから度々察知するけど、
特に何もして来ない。
最初はこれがストーカーか！って震えたもんだけど
慣れると怯えてた自分が可愛く思えるな。
このまま何も起こらないと良いんだけどね。
「遅い！！」
「帰ろうとしたら天使が声かけてきたんだから仕方がない！」
「天使？ああ、ロックオンされた哀れな天使ね。」
「シャーラップ！！
そうだ、聞きたいことがあるんだ。」
「くだらない事だったら殴る。」
「親って何で死んだのか知ってる？
今日聞かれて返答に困ったんだ。」
「知らない。」
「事故か自決か他殺かも？」
「知らないって言ってるでしょ！」
「そう、悪かったよ変な事聞いて。」
「ご飯一人で食べて！」
そのまま部屋に戻った綾の反応見るに事故死じゃないな。
自決でそこまで感情的になるか？
悔しくはあるだろうけど？
第一発見者だもんなぁ？
あの日、
『早く帰って来て』
のメール見て急いで戻ったけど大の男に捕獲されて
しばらく軟禁生活したっけ。
そうだな、他殺なら一連の行動も納得いくなぁ。
１１話 何も知らないくせに 【作哉】→←９話 もっと話していたかったのに 【作哉】
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