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異変 ページ4





吐き気がする。
これは何から来ているのだろうか。
罪悪感、恐怖、後悔、不安…。
分からない。
吐き気以外にも、心臓をえぐり取り出したいと思うほどの苦しみが胸中で渦巻いていた。
昼間からカーテンを閉め切った部屋の中は、薄暗さとカーテンから滲む明るさが混じって不思議な空間になっている。
週末のこの時間、いつもは何をしていたか。
そんな事も分からないほど、頭の中は混乱し、パニックを起こしていた。


(守れ、なかった)
(オレはあいつを、守れなかった)
(傷つけてしまった、苦しめてしまった)


自らを追い込むようにして、心の中で言葉を並べる。
あの日、あいつに伸ばした腕は、指先すら何かに触れることはなかった。
今でもあの時のことが鮮明に脳裏にフラッシュバックされ、どくんと心臓が大きく音を立てる。


(どうして、あいつが)
(どうして、オレは)


どうして、どうしてどうしてどうしてどうして。
その続きの言葉が並ぶことはなく、同じ言葉をただひたすらに並べ考えた。


(…くそ…っ)


あの時何をしていれば、どうしていれば、あいつは傷つかずに済んだのだろう。
今更なことを考えては後悔する。


「……っ」


後悔に苛まれ、震えた息を吐き出したとき
ふと、あいつの笑顔が頭をよぎった。
先ほどとは違う感覚で、心臓が音を立てる。
オレの好きな笑顔。
他にもオレの好きなあいつの姿が頭をよぎって行く。


(…ああ、)
(オレが、ちゃんとしないと、いけないの、か…)


この気持ちは一筋の光なのか、


(オレが、守らなくては)


それとも、


(もう二度と、傷つけないように)
(苦しませることのないように)
(オレが、しっかりと)


暗闇に引きずりこむ手なのか。


「…オレが、」

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作者名:不雲綺 | 作成日時:2017年11月14日 18時

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