〃 ページ21
「…いいの…?」
君は、そんなことを迷惑だなんて言う人じゃなかった。
「ありがとう…！」
「おれとの時間が、無駄な時間にならないように、ちゃんと君の役に立って見せるから…！」
「君のその、優しさに応えられるように」
君はいつでも、相手の気持ちのことも考えてくれる人だ。
人の気持ちを踏みにじることはせずに、その大きすぎるほどの優しさで、一番いい答えを見つけ出してくれる。
「張り切りすぎかな…」
「でも、」
君がおれの意見を受け入れてくれて、与えてくれた時間。
いつも君が傍にいてくれるだけで幸せなのに、特別にまた時間を作ってくれるなんて。
「………張り切るに決まってるよ。君が与えてくれた貴重な時間なんだから…」
・
胸いっぱいに、彼女の部屋の空気を吸う。
指先に触れているのは、彼女の私物。
鼓膜を震わすのは、彼女の声。
視界に映るのは、彼女の姿。
全身すべてで、彼女を感じられている。
(…こんな幸せ、あっていいのかな)
嬉しすぎて、幸せすぎて、胸が苦しい。
それを彼女に悟られないよう、胸の高鳴りや緊張を押し隠し作業に集中する。
部屋を見回すと、掃除をするより随分と物が減り、綺麗に片付いていた。
「これはもう、捨ててもいいものかな」
一つの袋を手に、彼女に問いかける。
君は頷いて、部屋の隅に置いておいてほしいと言った。
次のゴミの日に出すつもりなんだろう。
彼女の返事を聞いてから、視線をその袋にやった。
「…ううん、おれが代わりに、この袋とか捨てるもの全部出しておくよ」
「ゴミ出しだなんて、君がわざわざやるようなことじゃないから」
袋の持ち手部分を縛り、それを強く握りしめる。
おれの言葉に驚いた君は、勢いよく振り返って、そこまでしなくていいと首を横にふった。
「遠慮しないで。おれが勝手にしてあげたいと思ってるだけだから」
「おれが少しでも君の役に立ちたいだなんて、思っているだけだから」
「それに、せっかく部屋を綺麗にしたのに、こういうものを置いておくのは気が引けるしね」
「あ………もしかして、迷惑だったかな」
君は申し訳なさそうな顔を崩さないまま、そういうわけじゃないけど、と言葉を続ける。
「……邪魔だなんて思うわけないよ」
「だって、君がつい最近まで使っていたものだよ?」
「それを邪魔だとか、汚いだとか思うわけない」
「だから、こういうゴミ出しとか、君に不相応な仕事は全部おれに任せてよ」
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林檎麻(プロフ) - お久しぶりです...!!リクエスト受け取ってくれてありがとうございます..!!とっても満足しました!! (2017年11月7日 23時) (
レス) id: 5f64ee0b75 (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - ミユティさん» こちらこそありがとうございました！これからも彼に振り回されてやってください(笑 (2017年11月6日 22時) (レス) id: ccdc96260d (このIDを非表示/違反報告)
ミユティ(プロフ) - 久々の小見川くん、とても良かったです!!!!!良く考えたら小見川君のリクエストはこれで二回目ですね笑リクエストに答えて下さり本当にありがとうございます！ (2017年11月6日 21時) (レス) id: ffac928163 (このIDを非表示/違反報告)
ももか(プロフ) - 不雲綺さん» そうだったんですか、全然大丈夫です！これからも更新頑張ってくださいね (2017年11月3日 22時) (レス) id: fd489c71d0 (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - ももかさん» 申し訳ありません。この作品は今リクエストいただいてるものを書き終えたら更新を一時停止する予定でして…リクエストは受け付けておりません。説明文にリクエスト中止と表記しておらず、申し訳ありませんでした。 (2017年11月2日 18時) (レス) id: d72d593e93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：不雲綺
| 作成日時：2017年8月29日 17時
