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「本当?本当に、本当?」


頷くのを確認してから抱きしめる力を強くして、顔を彼女の首筋に埋める。
少し苦しそうに声を出した君は、おれを落ち着かせるように背を撫でた。
その優しさで、まだ捨てられていないのだと実感出来た。


「なら、どうして電話に出なかったの?返信してくれなかったの?」
「今まで、何処で何をしてたの?」
「おれ、不安で、不安で不安で不安で…死んじゃいそうだったんだよ」


君は、夕食の買い物と新しい服の買い物に出かけていたという。
スマホの通知に気付かなかったのは、人混みだったからと。
気付かなくてごめん。
そう謝られて、ようやく全身の力が抜けたように思えた。


「ううん…また君を感じられて、良かった」
「捨てられたんじゃなくて、良かった」
「………君の匂い…安心する…」


もういいと判断したのか、君はおれから離れようとする。
腕の温かさがまわりの空気のせいで冷える感覚が生まれて、思わずそれを引き留めた。


「待って、」
「もう少しだけ…もう少しだけこうさせて…」
「君がおれの傍にいるって、ちゃんと分からせて…」


君は分かったと呟いて、おれの背を撫で続ける。


「…もう、君と離れたくないよ」
「君が傍にいないのは耐えられないんだ」
「おれ一人じゃ、何もできない」
「君がいないとおれは、呼吸することさえ困難なんだ」


不安で、恐怖で、どうしようもなくなる。


「…君は、やっぱり優しいね」
「こんなおれにも、そうやって優しく微笑んでくれる」
「……急に来て、ごめんね」
「でも、おれ…怖くって…」


すると君は、とりあえず家に入ろうとおれの手を引く。
指先から伝わる体温が、胸に絶対的な安心感を芽生えさせる。


「…………………そんなだから、おれは君に溺れていくんだ」


指を強く握り返し、彼女の目を見つめる。
少し強張った表情の君が、どうしたのとおれを見つめ返した。


「ねえAちゃん、」
「………ううん、呼んだだけ」


おれの呼びかけにちゃんと反応して、聞き返してくれる。
ちゃんとおれの声が届いているのだと嬉しくなった。


「……おれが生きる意味は、君だけ」
「だから、」
「これからもずっと、おれに君と言う生きる意味を与えてね」

オネエ×友人×管理・排除=→←〃



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林檎麻(プロフ) - お久しぶりです...!!リクエスト受け取ってくれてありがとうございます..!!とっても満足しました!! (2017年11月7日 23時) (レス) id: 5f64ee0b75 (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - ミユティさん» こちらこそありがとうございました!これからも彼に振り回されてやってください(笑 (2017年11月6日 22時) (レス) id: ccdc96260d (このIDを非表示/違反報告)
ミユティ(プロフ) - 久々の小見川くん、とても良かったです!!!!!良く考えたら小見川君のリクエストはこれで二回目ですね笑リクエストに答えて下さり本当にありがとうございます! (2017年11月6日 21時) (レス) id: ffac928163 (このIDを非表示/違反報告)
ももか(プロフ) - 不雲綺さん» そうだったんですか、全然大丈夫です!これからも更新頑張ってくださいね (2017年11月3日 22時) (レス) id: fd489c71d0 (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - ももかさん» 申し訳ありません。この作品は今リクエストいただいてるものを書き終えたら更新を一時停止する予定でして…リクエストは受け付けておりません。説明文にリクエスト中止と表記しておらず、申し訳ありませんでした。 (2017年11月2日 18時) (レス) id: d72d593e93 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:不雲綺 | 作成日時:2017年8月29日 17時

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