EXOと神様の昔話 (ページ10)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:36,141 hit

モンペ誕生秘話② ページ10

｢ここが、わからなくて･･･。｣

おずおずとシンが出してきたのは中国語の参考書だった。

｢中国語勉強してんの？｣
｢はい、ヒョン達は中国語の方が楽だろうし、僕が話せるようになれば活動もやりやすいだろうと思って。｣

俺達にあまり関心がないんだと思ってたから、意外だった。
名前くらいはクリスが発音を教えてやってたし、きちんと出来るようになってたから別にいいかと思ってたのに。
ま、理由はどうあれ中国語が出来れば中国での活動がやりやすいのは当たり前だし、やっておいて損はない。

｢ふうん。まあ俺は韓国語も上手いから別に。｣
｢ヒョンは韓国語も上手だし…それに、発音に訛りがないから教えてもらいなってレイヒョンが。｣

少しだけ、表情を柔げて言うシンに、胸のあたりがきゅん、とした。

なに、なんだよその顔。
見たことない。

｢だめですか…？｣
｢べっ、別にいいけど！｣

何故か心臓がバクバクしてるのを隠すように、シンから乱暴にテキストを取り上げる。
目を通せば、見慣れた文字と、見慣れない文字。
んん？繁体字？ハングルじゃない…？

｢お前、これ何語？｣
｢あ、日本語です。｣

は？日本語？
なんで日本語？
いや、いくらできるからって母語以外の参考書買うか…？

｢お前日本語できんの？｣
｢できるっていうか…僕日本で生まれ育ったので…。｣
｢……はあ！？！？｣

何当たり前みたいな顔して言ってんの！？
知らなかったんだけど！？
ていうかそんなの俺達に言ったことなくない！？

チャニョルもそんなこと一言も言ってなかったからおそらく他のメンバー達も知らないんだろう。

｢ぜ、全員集合…！！！｣

俺は慌てて全員を呼んでシンを正座させた。

全員を集めて事の次第を話せば、驚きの声が上がる。

｢なんで言わなかったの！？日本出身だってこと！｣
｢言う機会がなかったので…。｣

言う機会がなかった…？
そんなの言う気がなかった、の間違いだ。
大事なことなのに、言わないなんて、シンにとって俺達はその程度の存在ってこと？

聞けば、ついこの間まで日本に住んでいたなんて言う。

｢え、でもシン韓国語ペラペラだよね？え？ずっと日本に住んでたの？｣
｢あ、ハーフなので、どっちも話せます。｣

何でもないような顔で言ったシンに、全員が大声で｢ハーフ！？｣と叫び返す。

大声にビクッとして下を向いてしまったシンに、何人かは呆れて頭を抱えた。