EXOと神様の昔話 (ページ7)

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リーダーの苦悩① ページ7

ある日、僕達はスマン先生に呼び出された。

言われた通りの部屋へ行くと、全員で13人いた。

｢君たちにはEXOというグループでデビューしてもらうことが正式に決まった。｣

そう告げられた瞬間、部屋中の空気が変わった。

ついにデビューできるという嬉しさと、不安と、戸惑い。

いろんな感情でいっぱいだったけど、とりあえずその時は喜びが優っていた。

そのとき一人だけ、喜ぶでもなく戸惑うでもなく、ただ僕たちの様子を見ている子がいた。

名前くらいは知っている。

パク・シン。

てっきりこのまま12人でデビューするものと思っていたから、もう1人増えたことが驚きだった。

僕は練習生期間が長いけど、ほんとに最近の数回しか見たことがない。
練習生になったばかりなんだろう、だとしたら相当早いデビューだ。

肌も真っ白で細身で男でも女でもないような中性的で綺麗な顔をしていて、不思議な魅力に、思わず目を奪われてしまう。

｢パク・シンです。よろしくお願いします。｣

笑顔を見せることなく淡々と自己紹介をして、ぺこりと頭を下げ座った。
第一印象は大人しくて冷たい感じだった。

それから、デビューにあたってコンセプトや設定が説明され、しっかり覚えるように、と釘を刺される。

どうやら僕たちには特別なコンセプトがあるらしい。

僕達はその日からEXOとしてデビューする仲間になった。

一緒に暮らし始めれば、初めて知ったこともあるし、合うことも合わないこともある。

何とかみんなで生活できてはいるので、少しずつ慣れていこう。

ちょっとだけ、問題があるとすれば、シンだろうか。

｢おはようございます。スホヒョン。｣
｢あ、おはよう。…大丈夫か？顔色良くないけど。｣
｢大丈夫です。｣
｢ちゃんと眠れてる？｣
｢はい。大丈夫です。｣

大丈夫としか言わない。

表情から関わりたくないという気持ちが伺える。
嫌われるようなことをした覚えはないから、単に人見知りなんだろうか。
それとも、仲良くする気がないんだろうか。

もしも後者ならビシッと言わないといけないな。

｢シン、僕たちは一緒に過ごすんだから、うまくやっていかないと。｣

そう言うと、振り返ったシンがニコッと笑った。

｢わかってます。｣

なんだかその笑顔が、さらに壁を作られたようで、余計に虚しくなった。

｢なにかあるならいいなよ？｣
｢はい。ありがとうございます。｣

ぺこりと頭を下げて、シンはさっさと顔を洗いに行ってしまった。