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◆66 ページ25

「はい。鮭のムニエルバター醤油ソースがけ、洋風レストラン風。
今日の夕がお限定メニューよ♪」

「早速私の報告書が役立ってるね?」

「ええ。ちょうど秋鮭が入ったの!」


香ばしい鮭の香りに混じってバターと醤油の甘い香りが鼻腔をくすぐってくる。

これは絶対に美味しいやつだよ。


「それじゃあ遠慮無くいただくよ」


箸を手に、まずはメインの鮭を一口大にほぐして…ぱくり。


「ん〜〜〜〜っホクホクッ!」


舌の上で溢れるアツアツの鮭と脂身。

それを包み込む濃厚なバターの風味と甘辛い醤油が絶妙に胃を刺激すると、たまらずご飯に手が伸びる。

食べる私にしたら今はこれが最強のタッグだ。


「この濃厚なバターと甘辛醤油ってのが妖にとっては憎いねぇ」

「ふふ。妖は甘辛いのが好きだものね」

「葵はそこのところがよくわかってていいね。夕がおも繁盛するわけだよ」

「もう、そんなにおだてても…。
あ、すだちもあるから追加でかけてみる?」

「このうえ更に贅沢な!いただくよ」


出されるがままにすだちをかければ、バターと醤油が少しなりをひそめて、今度はさっぱりとした風味がやってくる。

あっという間に残りを平らげ、後に残る満足感が心を満たす。


「気に入ってもらえてよかった。
報告書の最初にあったから、もしかして思い出のあるお料理なのかなって」

「あぁ。いくらか前に私が大旦那様と現世デートした時に、洋食屋で食べて気に入った料理だったんだよ」

「…え?」


途端、葵の空気が変わったのを肌で感じた。


「葵?…ぇっ」


目を大きく開き私を見る葵と、自然目が合う。

表情は硬く、硝子のような紫色の瞳が震え、動揺が伝わってくる。




私は今…何、を…?

◆67(前半葵視点)→←◆65



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設定タグ:あやかしお宿 , かくりよの宿飯   
作品ジャンル:アニメ
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猫築かなめ - とても楽しく読ませていただきました、夢主が大旦那様の元婚約者だったというところを詳しく知りたいです (2020年8月10日 11時) (レス) id: 8f5697df22 (このIDを非表示/違反報告)
こしあんのお餅 - すごく面白かったです! (2019年6月2日 17時) (レス) id: 436e739fd5 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑 - 夢主さんが大旦那様の元婚約者だったとは・・・!驚きました!私、こういうシリアスな感じの小説すっごく好きなんです!たとえ、作者様が自己満足でも私はとても楽しみにしています。気が向いたらで本当に結構です。大変だと思いますが更新頑張って下さい! (2019年3月7日 23時) (レス) id: 8f1f373125 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:そーめん | 作成日時:2018年11月22日 0時

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