【Fate/Promise】 (ページ38)

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Good-bye ページ38

「腕は大丈夫だったんだけどなぁ……腹は流石にダメかぁ……」

「バカ言わないでよ。ここで死なれちゃ困るの！」

「ここで死んでもらうわ…さぁ、死んで…あなたの赤髪、見る度にイライラするのよ…！」

「うるさい！」

短剣を取り出してソフィアに切りかかる。ソフィアもガンドの構えを崩して華奢な短剣を取り出し、防ぐ。

「学習能力のない女ね……」

「あなたもね……！！」

ソフィアから距離を置き、魔力を溜めながら強化詠唱を唱える。

「Kill the prey！Never Do not falter！」

そしてもう一度切りかかる。ソフィアの短剣を砕く。

「クッ……！！！」

ガンドの構えをソフィアが取る。

「させるもんですか！」

そのまま短剣を振り下ろす。肩から胴体にかけて一気に傷を負わせる。ソフィアは耐えきれずに悲鳴をあげた。
ソフィアはバタリと地面に倒れる。戦意も喪失したようで、夜空の目に涙を溜めて細い手首を震わせ、瞼を閉じた。
震えも、止まった。

「あなたが味方として居たなら、どれほど良かったか……。」

ソフィアの目尻から涙を拭ってやった。

「そっちはどうなの。」

「あぁ、出血は止まりそうだ。まぁ、完全に止まる頃には、私はいないだろうがね。」

「ハ……？どういう事だよ…」

「言葉通り、消滅するんだ。私は聖杯から受けられる恩恵を拒んだ。そもそも願いなど無いからな。」

「嘘だ…だってお前はまだ……！！」

「それ以上言うのは野暮だ、マスター。これは、私が選んだこと。そして、君のためでもある。」

「あぁ……行くのか…それは、それで…悲しいな」

「何を言っている。私は一度、君を裏切ったんだぞ」

「でも…お前は………ちゃんと向き合った。戦った。それでチャラだ。」

腹部の痛みに喘ぎながらも、話す。これだけは、これだけは、と。もっと弓兵と話していたかった。

「そうか。……すまなかった。」

「だからもういいって。」

「いや、その事ではなく。君を、私情に巻き込んでしまって。」

「それは、俺が望んでした事だ。何も後悔はない。お前の事も、自分の事も。それでいい。悔いがないのが……一番…いいんだ………」

目を閉じまいとしていたが、もうこれ以上意識を持ち続けるのは辛い。

「アーチャー……おやすみ…また明日…」

「あぁ………良い夢を。マスター。」

少年は目を閉じる。赤い外套の弓兵と、白い少女に見守られて。
その時の少年の顔は、とても、嬉しそうだった。