Episode9-2 ティムレット ページ36
「は……！？」
何ということだろう。あり得ないことが起こっている。
先生が微動だにしない。呼吸による体の揺れ、瞬きすらしない。
ただならぬ危機を感じ取った私は、周りを見渡してみた。
「何……これ……」
誰を見ても何の動きも察知できない。テスト中だというのに、鉛筆を動かす音も聞こえてこない。
まるで、時が止まったかのように。
「……Aさん、魔物です」
後ろから椅子が動く音と、もはや聞き慣れた緊迫感のあるアミちゃんの声が聞こえてきた。
「アミちゃん！！」
私も立ち上がり、アミちゃんのもとに駆けつける。
テスト中だから……なんて考えは吹っ飛んでいった。
「これ……時が止まってるの……？」
「はい。恐らくティムレットの仕業でしょう。ティムレットの半径1�匏�内にいる魔力がない人の時間は止まってしまう。この世界で動けるのは私たちだけです。
早くどうにかしないと……」
アミちゃんの目つきが鋭くなって、窓の外を覗いた。
「あそこです。体育館の上……！」
「あ……！？」
向かいの別棟の屋上に獣のような出で立ちの魔物が鎮座していた。
「あれがティムレットです。私が行きます。
Aさんはここで、何かあったときのための援護の準備をお願いします」
「……うん」
私が了承すると、アミちゃんは窓枠に足をかけ、別棟にジャンプしていった。
「エアー・キャノン！！」
空中にいる体勢で『エアー・キャノン』をティムレットに命中させるアミちゃん。
本当の戦士のようで……。
「キゥゥゥゥン！！」
ティムレットが咆哮し、その衝撃でアミちゃんを吹き飛ばす。
「きゃああああっ！！」
まずい、衝撃でアミちゃんが屋上から急降下していく。
このままじゃ、アミちゃんは地に叩きつけられちゃう！
「『ゴッド・ブレス』！！」
遠距離からだけど、アミちゃんの落下予想地点を狙って竜巻を起こし、アミちゃんの落下速度を落とす。
「Aさん、ありがとうございます！」
何とか最悪の事態は免れた。
アミちゃんはまた魔力で跳躍し、ティムレットに挑む。
「ストーム・カタルシス！！」
暴風がティムレットに向かって吹き、ティムレットを屋上の端に追い詰める。さっきの逆パターン。
「さっきのお返しをしてあげますよっ！！
ダウンバースト！！！」
流れるはずのない雲がティムレットの頭上に集まってくる。
「はあああああああああああああ！！！！！」
アミちゃんの叫びで、激しい下降気流が巻き起こる。
Episode9-3 他人の目→←Episode9 諦めちゃダメ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
頂志桜(サム)(プロフ) - 怪盗ゆかりんさん» ありがとうございます！地道に、頑張っていきますね！ (2016年8月24日 12時) (
レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗ゆかりん - とても良いと思いますよ。オリジナル物では大体ファンタジーじゃない恋愛系が多いのでとても良いと思います。なので頑張ってください。 (2016年8月24日 11時) (レス) id: 9e404a3c93 (このIDを非表示/違反報告)
らむ音(プロフ) - 頂志桜さん» じゃあ、オリジナルで！ (2016年2月11日 14時) (レス) id: 38cad45099 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(プロフ) - らむ音さん» オリジナルのほうがいいかなーと。どうでしょうか (2016年2月10日 22時) (レス) id: b2ab2df1fb (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(プロフ) - らむ音さん» 敬語なのはなんとなく……です。普通のほうがいいかな……？ (2016年2月10日 22時) (レス) id: b2ab2df1fb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：頂志桜 | 作成日時：2016年1月25日 1時
