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Episode5-4 気の迷い ページ22

彼はしばらくぼんやりと地面を見ていた。しかし、さすが『アムール』の一員。すぐに正気に戻り、姿勢を正した。

「ああ、初めて負けたよ。やっぱり無理だったか」

そんなことを口にしながらも、すがすがしい笑顔を浮かべていた。

「はあ……はあ……」

対する私は『コンフラグレーション』で受けたダメージがまだ効いている。

「ごめんね。ちょっと大人げなかったかな」

「……いえ。嬉しいです。本気でぶつかってもらえて」

「Aさん……」

ロビンさんは疲れ果てた私に向かって歩を進めた。気付けば、手を少しだけ前に動かせば届く距離に。

って、近い近い!! いくらなんでも近すぎますって!

彼の顔をまじまじと見る。その後コンマ一秒もかからずに、赤面している自分に気づく。

「ロビンさん、近いですって……」

彼にはきっと聞こえていないのだろう。彼は私の言葉を無視して、さらに歩を進める。
思わず私が足を退くが、また一歩踏み込まれる。

――ど、ど、どういうこと? 一体何をしようと?

壁に追いやられて、どうしようもなくなってしまった私に、彼は手を差し伸べる。
彼の手は滑らかに私の顎まで運ばれて……。あと少しで触れる……。

そこで彼の動きが止まった。

「ふ、ふえ?」

《……見つけたのね》

一瞬のうちに彼は私から離れたところにいた。なんだかそわそわしている。

「な、何かあったんですか?」

「……魔物の気配がする。それじゃあ、また!」

目にもとまらぬ速さで彼は玄関まで戻っていった。

《あんたも行く気?》

――うん

魔物がいるって言うのなら、退治しなきゃいけないから。



《場所はあたしが教えるから安心して。まずはここから出よう》

アリアドネに従いながらも、ずっとさっきのロビンさんの行動が気になって仕方がない。

《あいつのこと?》

――なんであんなことしたのかなって。気になって仕方がないんだ

《……気の迷いでしょ。イーリアスが直撃して、おかしくなったんじゃないの?》

アリアドネはいらだちつつ、そう吐き捨てた。

――ロビンさん、もしかして……



アリアドネの指示通りに突っ走り、気が付いたら私たちが通っている、神岡中学校の四階への階段の前にいた。

――ってアリアドネ! どういうことなの?

気が付いたら不法侵入していたなんて、タダじゃ済まされないでしょ。

《ここに魔物がいるってことだよ》

この階段を上ってすぐに、音楽室がある。アリアドネによると、そこに魔物がいるらしい。

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作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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頂志桜(サム)(プロフ) - 怪盗ゆかりんさん» ありがとうございます!地道に、頑張っていきますね! (2016年8月24日 12時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗ゆかりん - とても良いと思いますよ。オリジナル物では大体ファンタジーじゃない恋愛系が多いのでとても良いと思います。なので頑張ってください。 (2016年8月24日 11時) (レス) id: 9e404a3c93 (このIDを非表示/違反報告)
らむ音(プロフ) - 頂志桜さん» じゃあ、オリジナルで! (2016年2月11日 14時) (レス) id: 38cad45099 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(プロフ) - らむ音さん» オリジナルのほうがいいかなーと。どうでしょうか (2016年2月10日 22時) (レス) id: b2ab2df1fb (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(プロフ) - らむ音さん» 敬語なのはなんとなく……です。普通のほうがいいかな……? (2016年2月10日 22時) (レス) id: b2ab2df1fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:頂志桜 | 作成日時:2016年1月25日 1時

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