婚約者VS父親 ２｜【赤・黄】

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黄ｓｉｄｅ





まだ不機嫌な奴はAの手をしっかりと握ったまま会場を出て行き、スタスタ歩いてくから呼び止めた。





「A！」




『ん？あ、お父さん置いてっちゃった。』





おい。

あ、置いてっちゃったってなんやねん。

…小走りで戻ってくんの可愛いけど。





エイの水槽の前で再び３人で揃ったら、次どうするか話し始めた。







『まだ一時間も残っているし、余裕で見回れるけど。お父さんはなんか見たいのない？』







地図を広げて、みんなが見えるように持つA。








『えーっとねー、私たちは今多分………ここ……あ、違う、ここ。ん？』








顔に近づけても、『え、私たちショー会場の近くだよね？』としか出てこーへん。

さっき隣でむすっとしとったやつも、地図を見る角度を変えるAを見て笑った。






あぁ、もう。

そんな優しい顔して見やんでもわかったって。




もう十分…分かったから。









「あー、俺、ちょっとよるとこがあんねん。せやから、今から２０分別行動でええ？」






『え、よる場所って？』





「なんか、濱ちゃんが魚の写真を撮ってきてって頼まれて。二人は先に行っとって。」





『そうなんだ。別にいいけど…じゃあ２０分後、またここで。』









逆方に向かって別れる。


二人は繋がったまま、ぐちぐち言い合って「世界の海エリア」へと向かい、


俺は歩いて来た道を戻り始めた。









＿＿写真なんて嘘。









ただ一人で行きたい場所があるだけ。

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