卵焼き。 （YN ページ9
トントンと
リズミカルな音で目を覚ます。
昨日はAの家に泊まった。
果物を切る彼女が
「起きた？体痛くない？」と
キッチンから顔を出したので
「ごめん、
結局泊めて貰っちゃたみたいで」と謝った。
「ううん、
このところ仕事忙しそうだもんね
朝ごはんは食べる？」と
思いもよらぬ彼女の言葉に
「え？
朝ごはん作ってくれるの？」と思わず聞き返すと
「大したものじゃないよ？」と言うので
俺はダメ元で
「卵焼きが食べたい。甘いやつ」とリクエスト。
「ご飯なくてパンだけど
それでも良ければ」と卵焼きを作ってくれた。
暫くしてトーストと
果物の沢山入ったヨーグルト、
それに卵焼きとコーヒーがテーブルに並んだ。
Aが作った卵焼きは
ほんのり甘く美味しかった。
食べ終わると俺はチャンミンに電話をする。
「チャンミン家に帰ってる？」
「まだ千代のところですよ
ヒョンは家ですか？」
「俺？Aの家、
朝ごはん食べたとこ」
「え？泊まったんですか？」と驚くチャンミン。
Aには千代から着信があったようで
隣で話している。
チャンミンからの提案でAと３人で
局までタクシーで行く事になった。
チャンミン達がAの家まで
タクシーで迎えに来てくれて
千代を最寄り駅で降ろし、仕事場へ。
彼女は職場の少し手前で降りて
仕事に向かった。
局に着いて控室に入るとチャンミンが
「で、Aとはどうなんですか？
泊まったんでしょ？」と聞いて来たので
俺は事の顛末を話した。
「そういえば今朝の彼女
なんだかすっきりした顔してましたね、
何か気持ちに変化があったんですかね」とチャンミン。
俺も今朝の彼女はなんだか
雰囲気が違うとは思った。
チャンミンが言うように気持ちに
何か変化があったのだろうか。
俺はその変化が
良い変化でありますようにと願った。
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作者名：kawaetsu
| 作成日時：2016年5月7日 15時
