Cigarette love (ページ12)

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残業。ページ12

週の終りの金曜日。

土日がお休みの保護者が多いからか
子供のお迎えが遅い金曜日。

夕方から閉園に掛けて担当している私は
いつもより忙しく過ごし
気がつけば閉園時間まであと５分。

問題なく過ごせそうだったその時
電話が鳴る。

受話器を取ると
「１歳クラスの
宮野颯太(みやのそうた)の母ですが・・・」

この挨拶だけで用件は分かる。
お迎えが閉園に間に合わないんだ。

分かってはいるけど
「そうちゃんママ、どうしました？」と聞くと
「実は今職場を出た所で、お迎えに間に合わなくて…
主人が今、向かってるんですが
それでも１０分ほど遅れてしまいそうで・・・」
ママの申し訳なさそうな声。

「大丈夫ですよ。
パパにも急がないで気をつけて来てくださいと
お伝えください」と電話を切る。

今日は残業確定。

というのも延長保育の時間は基本、
当番の先生と私の２人体制で
全員退園した後に戸締りを確認し
２人で園を出るのが防犯上のルールだからだ。

事務所にそうちゃんを連れて行き当番の先生と
交代で着替えてお迎えを待っていると
「遅くなってすいませーん！
そうた迎えにきました！」と
パパが息を切らしてやってきた。

最後のお迎えも終わり園を出る。

私の自宅はバスと電車を乗り継いで３０分。

バス停に着くとそうちゃんとパパが
ママのことを待っていた。

「そうちゃんママのお迎え？」と私が聞くと
「今日はすいませんでした！」とパパ。

「大丈夫ですよ～
気にしないでくださいね」と返す。

すると「あ！そう言えば先生！」と
何か思い出した様子のそうちゃんパパ。

「なんですか？」と私が聞くと
「先生、またライターあげたでしょ？
しかもイケメンに」とニヤニヤする。

「え？！
なんで知ってるんですか？」と私が驚くと
「先生がライターあげた人
僕の仕事の関係の人なんですよ！」とそうちゃんパパ。