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その三十三 ページ36

「ふんふふ〜ん、ふ〜ん〜」



 「随分ご機嫌ね、鼻唄まで歌って。」

 「あら、やっと来たのね、待ちくたびれたわ。」

 「忍び込むのも大変なのよ!」




 実弥さんが任務の為に出掛けて行った。つまり、いまこの屋敷にいるのは私と不細工、そして目の前にいるこの女だけである。

 不細工はさっき風呂掃除をしていたから、簡単に出てこれないようにちょっとだけお風呂の扉に細工を仕掛けておいたわ。といっても本当に簡単なものだから、すぐに開けられる筈だけど。




 「あの不細工が掃除を終えるまでにちゃっちゃと済ませるわ、腕出して。」




 女が袖をまくり腕を私に差し出す。程よく脂肪と筋肉がついている腕、まあまあ、美味しそうじゃない?

 私はカプりと腕に噛み付いて、ちょっとばかりの肉と血を頂いた。
 「痛ッ」と声を上げる女。痛いのは当たり前でしょ、だって人間なんだもの。あんまり声出さないでよという念を込めた視線を送りながら、私は瞬時に腕の止血をした。




 「止血はしてくれるのね。」

 「あなた、血ダラダラ流しながら帰るつもりだったの?そんなことになったらすぐにバレちゃうでしょ。」

 「……そう。」

 「こんなものね。さ、もう終わったからとっとと帰って頂戴。あまり匂いとか気配とか残したくないの。」




 女はこくりと小さく頷いて屋敷を後にした。そして女の気配が完全にしなくなった頃、やっと風呂場から不細工が出て来た。


 「何よあの扉、すっごい建て付け悪いじゃない!」とかなんとか言いながらぷんすこ、と怒っている不細工。

 あれくらいの仕掛け、少なくとも五分あれば解けるんだけど……やっぱり彼奴、大したことないわね。
 まあ、なんとなくそんな感じがしてたから、敢えて簡単な仕掛けにしたんだけど?




 「……ほんと、すぐに終わっちゃうかもしれないわね。」




 さっきまでは割と機嫌が良かったのに、今回のお相手があまりにもつまらないものだと再確認した途端、何処か気分が下がった。

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雪製レンガ - テストの山…私もその合間で見つけた…ジゴクダヨネ… (7月14日 20時) (レス) @page2 id: aacf113ce1 (このIDを非表示/違反報告)
実弥&左馬刻&勝己Love - 初めまして!凄く面白いです。実弥推しなので、嬉しいです♡このまま実弥とくっつけ笑笑更新待ち遠しいです。更新楽しみにしています( "´༥`" ) (2021年12月7日 12時) (レス) @page48 id: a5d4d80cb6 (このIDを非表示/違反報告)
まっひー - テストは私が殺ってやる!⇠ 作者様は夢小説をお書きになって下され!! (2021年11月30日 20時) (レス) @page3 id: d24aae8d9d (このIDを非表示/違反報告)
ななななな(プロフ) - こんなにテストを恨んだことはない、、、!作者様に早く更新できるようにして差し上げろ! (2021年10月12日 13時) (レス) @page49 id: ed46f7b247 (このIDを非表示/違反報告)
もかやん(プロフ) - テストの山大変ですね…(>_<)ファイトです*(°̀ᗝ°́)و (2021年10月12日 0時) (レス) @page49 id: c0d5dab732 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士A | 作成日時:2020年1月13日 22時

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