16話 ページ16
「灰谷の個室にお願い。Aって言ったら分かるから」
爆音で踊り狂う人たちを眺めながらクラブの上階へと上がる
酒飲んで踊って…みんな楽しそうで何よりだわ
「あれ〜?東卍に移籍したAじゃん」
「スタンガン壊れたから新しいの欲しいの
あと使えそうな物があるなら見たいな」
「いいよ。何と交換する?」
「竜胆の彼女ヅラしてた人の携帯」
「良かったな竜胆。手間省けたじゃん」
お礼に一杯やるよ
そう言って竜胆から差し出されたグラスには、私が克服するのに時間がかかった飲み物が入っていた
六本木のカリスマって言ったってまだまだ子どもなのに
ましてや私はまだ中学生だ
未 成年でクラブのVIP席に座るなんて灰谷兄弟以外は許されないだろう
「毎回思うけどシャンパンなんてどこがいいのよ」
「お前はビールの方が好きだもんな
欲しけりゃ頼めよ」
「蘭と同じやつで」
「酔いたいのか?何かあったんならお師匠様に話してみろよ」
「東卍はお酒が出るような場所じゃないから久しぶりなの」
残りのシャンパンをグイッと一気に飲み干す
じんわりと苦味が広がるのと同時に、脳が少しふわっとする
「好きなだけ飲めよ。お前の酒癖は俺らのせいだからな」
お酒にタバコ、そして喧嘩の仕方
それら全てを灰谷兄弟から教わった
里親がいた頃、度々六本木に行く機会がありそこで灰谷兄弟に出会ったのだ
私が里親に歯向かえたのも、悪知恵と体の使い方を教えた灰谷兄弟のおかげ
ココに出会えたのも、竜胆の交渉に付き添ったからだった
「特に珍しいもんなんかねぇよ
こんな物に頼らなくたって竜胆が教えたろ?」
「竜胆の教えが良すぎて素手だと加減ができないのよ
これもらっていい?」
「物に頼ってると兄ちゃんみたいにもっとバグるぞ」
ほらよと渡されたスタンガンと新しいナイフをポケットに忍ばせる
「("頼りすぎはよくない"…か」
帰り際の千冬の表情、私が最期にみた顔と一緒だった
そりゃ毎回千冬の前で亡くなってたらトラウマになるわよね
過去に戻りすぎて未来の出来事がフラッシュバックする、なんてタイムリープの代償としては当然か
千冬の前では気をつけないとな
「そんな物騒なもん忍ばせて誰かやるのか?」
「1人脅しに行こうと思うの」
「ふーん。まあ楽しんでナ」
場地が仲間割れするのはもうすぐ
それまでに一虎を説得するしかない
192人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
餃子(プロフ) - 微生物さん» 了解しました!ご指摘は有り難い事なので言って頂けて嬉しかったです(^^)励みになりました!頑張ります! (2022年4月9日 12時) (レス) id: 62fd12ab2d (このIDを非表示/違反報告)
微生物(プロフ) - 早めの対応ありがとうございます!設定タグの方も「馬地」になってますので訂正お願いしたいです。何度もご指摘すみませんm(_ _)mこの作品結構好きなので今後も更新頑張って下さい (2022年4月7日 22時) (レス) id: f2927e6a43 (このIDを非表示/違反報告)
餃子(プロフ) - 微生物さん» うわ本当だ!ご指摘ありがとうございます、すぐになおします! (2022年4月7日 20時) (レス) id: 62fd12ab2d (このIDを非表示/違反報告)
微生物(プロフ) - 「馬地」ではなく「場地」ですよ (2022年4月6日 18時) (レス) id: f2927e6a43 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:餃子 | 作成日時:2022年2月9日 14時