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その7 冬弥side ページ8

2人の言い合いに、俺はなす術もなかった


お互いが俺のことを思ってくれているのが伝わり申し訳なくなる





さっきまでの威勢はどこへやら、下を向いてしまったAに俺は声をかける




「A…俺はクラシックをやるよりも彰人たちと歌うことが楽しいんだ」




だから分かってくれ、と伝えるとゆっくりと顔が上がった





「あぁ…とんでもなく邪魔だわ」


「A?」




顔を上げたAは驚くほどに笑顔だった




「あんたが誘ったのが悪いのよ
 伝説?イベント?…現実見なさいよ、高校生でしょ?」



「てめぇ…ッ」



「私はねぇ、見た上で文句言ってるのよ
 一度東雲くんが歌っているのを大通りで見たことがあるわ
 観客も居たけど、あんなの音楽というのかしら」



「A!彰人は俺を救ってくれたんだ!そんな言い方…!」



「東雲くん見てたらさぁ…笑いが出るんだよね」



「A!」




俺の声に微動だにせず彰人を見つめるA


しかし、思いの外彰人は冷静だった




「やっぱり俺お前のこと嫌いだわ」



ふっと笑う彰人にAは悔しそうに下唇を噛んだ


そして財布からお金を出すと、机の上に置いて立ち上がった





「…私は大嫌いよ」




そう言ってAは少し大きく椅子を引いて店を出た



その音に反応した周りの客がAを目で追い騒ぎ始める




「今のって青柳A?!」


「嘘、気付かなかった…追いかけたらサインくれるかな?」



「ていうか、ここに残ってる男の子達知り合いかな?
 どうする?声かける?」




俺たちも注目を浴びてしまい、それに気付いた彰人はため息をついた




「俺たちも早く帰った方が良さそうだな」


「あぁ…Aが迷惑をかけてすまない」




俺たちもすぐさま店を出る


彰人に迷惑をかけてしまった




「彰人、俺のせいですまない」


「お前のせいじゃねーだろ…
 それに、俺の歌が努力不足なのは事実だ」



もっと練習する、と意気込む彰人に俺は少し気持ちが楽になった




「俺は彰人と出会えて…一緒に歌えて本当に楽しい」



「楽しいなら相棒みょうりに尽きるな」




彰人なら…いや、彰人しかいないのかもしれない





「彰人、頼みたいことがあるんだ」


「なんだよ練習なら付き合うぜ」




立ち止まる俺に気づいて振り返った彰人に、俺は頭を下げた









「Aのことも…救ってやってくれないか?」

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餃子(プロフ) - すみません通知溜まってるし第一章は終わっているので全く見てませんでした、、、コメント見て表現は編集したのでまた読みにくかったら言ってください (2022年3月16日 14時) (レス) id: 62fd12ab2d (このIDを非表示/違反報告)
八戸 - 確かに汗とかないほうが読みやすいかもです…。()つけてみるのもありかもです! (2022年3月15日 21時) (レス) @page2 id: 31c5d0f724 (このIDを非表示/違反報告)
Y(プロフ) - 汗とか怒とかの感情書かない方が正直読みやすいです… (2022年2月28日 2時) (レス) @page16 id: 6135a2eb1f (このIDを非表示/違反報告)
餃子(プロフ) - リオットさん» とってもコメント遅くなって申し訳ありません、、!!コメント嬉しいです(^^)頑張ります! (2022年1月4日 16時) (レス) id: 62fd12ab2d (このIDを非表示/違反報告)
リオット - 凄く好きな小説でした。ありがとうございます。更新頑張ってください。 (2021年12月10日 22時) (レス) @page44 id: 5c3b65f0f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:餃子 | 作成日時:2021年8月22日 21時

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