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「Aさーん!」
「は、はいっ」
「ごめんネ、おまたせ」
そう言って私の元へ駆け寄る。
天童くんは笑いながら、私を見る。
私の好きな笑顔。
火照る顔を思わず、天童くんから背けてしまう。
「どうしたの?」
「え、えっと、ひこうき雲!」
「夜って珍しいヨネ」
少し苦笑いしながらそう言う。
気を使わせてしまった。
私の小さい歩幅に天童くんが合わせてくれるのがわかる。
私は少し大きめに速めに歩くけど、結局疲れて元のペースに戻ってしまう。
天童くんは笑いながら言った。
「俺に合わせなくてもいーヨ」
「でも、天童くん部活で疲れてます」
「疲れてるからゆっくり歩きたいな〜」
そっか、と私は元のペースに戻す。
私はふと天童くんの顔を見上げる。
天童くんはそれに気づいたように私の顔を見下ろす。
必然的に目が合うわけで、顔に熱がのぼっていく感覚がする。
「俺の顔になんかついてる?」
「へ、いや、ごめんなさい」
あれ、なんで私、天童くんと2人で帰ってるんだっけ?
頭の中がぐるぐるに回る。
「なんで一緒に帰ってるか、知りたそうだネ」
「なんでわかるんですか?」
「俺、鋭いから」
「へえ」
そんだけ!? と笑う天童くん。
そして頭に手を当てて、暗くなった空を仰ぎながら言う。
「Aさんとゆっくり話してみたかったんだヨネ、そしたらなんか1人でいたからさ」
誘ってみた、と続ける彼。
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時雨 彩(プロフ) - 夢さん» コメントありがとうございます!無事完結出来たのも応援してくださった皆様のおかげです。応援ありがとうございました! (2019年9月26日 21時) (レス) id: 8a1a36a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
夢 - 完結おめでとうございます!楽しく読ませてもらいました。 (2019年9月26日 21時) (レス) id: f2a649a0a0 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 彩(プロフ) - エアコンさん» コメントありがとうございます!素敵だなんて言っていただいて嬉しいです。これからもよろしくお願いしますね! (2019年9月21日 17時) (レス) id: 8a1a36a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
エアコン(プロフ) - 面白い!素敵な小説ですね〜! (2019年9月21日 17時) (レス) id: 1a75dc9844 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 彩(プロフ) - ぬーすけさん» コメントありがとうございます!今まで書いていた天童くんの小説とは違い、純粋でなんの駆け引きもない小説が書きたかったんです。これからもよろしくお願いしますね! (2019年9月21日 17時) (レス) id: 8a1a36a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
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