月夜に眠る双子の秘密

高校生は子供？ ページ21

「おーい、お前ら！海だぞ！」

「うるせぇ、バカ武！周りも皆困ってるだろ！」


この光景を見て、私はため息をついた。

全く、2人ともこんな所でも喧嘩して・・・

私は呆れていたけど、私以外の皆の反応は結構バラバラだった。



まず、小塚君は2人の喧嘩に少しうろたえている感じ。

呆れ半分、戸惑い半分って感じかな。


翼は、2人のことを見ながらニヤニヤして、今にもからかい始めそうな感じ。


黒木君は、2人の様子を見て、止めるタイミングを見計らっている。


忍はまあ・・・キョトンとしている。



こう見ていると、KZってとても個性的な集団だと思う。

このメンバーでは、中１の時からやってるけど、ずっと続いているから、やっぱり絆があるんだね。

初期メンバーなんて、小６からだし。



私がそんな事を考えていると、いつの間にか喧嘩は収まっていたらしい。

聞いてみたら、殴り合いになる寸前で、黒木君が止めたらしい。ホッ。


すると、急に皆の視線が私に向いた。

え、何？急に・・・


「皆、どうかしたの？」


そう聞けば、皆は急にまごついた。

あ、正確に言えば黒木君と、忍を除いた皆、かな。


黒木君は、大人な余裕の笑みで私を見て、忍は皆のことを見て、その視線の向こうにいる私を代わりばんこに見ていた。

皆の視線に戸惑っていると、やがて黒木君が口を開いた。



「皆、アーヤの水着姿が可愛いって思っているんだよ」


瞬間、私はボンッと火がついたように真っ赤になった。

だってそれって・・・


恥ずかしさ半分、嬉しさ半分の気持ちで皆から顔を背け、私は自分の格好を思い出した。


今日、私は菜の花色のオフィショル、デニムのスカートを身に付けている。

オフィショルって言っても、胸元までしかなくて、おへそが出ているからビキニみたいになっているもの。


それに、いつもはしないサイドポニーテールに青と白のストライプのリボンをつけている。

最近、髪も長いし水の中に入ると邪魔だもんね。


その時、後ろに視線を感じたんだ。

直ぐに後ろを向いたけど、誰も居なかった。

気のせいかなぁ・・・


すると、若武から声がかかった。


「アーヤ！とりあえずかき氷食いに行くぞ！」


かき氷って・・・好きだからいいけどさ。

見てみると、皆はいつの間にか歩き出していたらしく、少し離れた所にいた。

私は皆の方を向いて、頷いてから走りよった。


頭の中で上杉君のお母さんのことを考えながら。

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