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「廉くん出ましたァ」
大きな声でドタドタとやってくる
髪を濡らしたまま、白いタオルを首にかけて。
「髪乾かしてきてください」
「乾かしてぇや」
「いらん」
「なんで？」
「嫌だから」
廉がブツブツ言うのを無視して
私は食卓にご飯を並べた
「そろそろ釜飯を家で食べれる文化にしてほしい」
「あ、それいいよね、やってみたいかも」
「気が合いますねぇ」
廉は椅子に座り
手を合わせた
「いただきます！」
「いただきます。」
廉は美味しそうにご飯を頬張った
「やっぱりAのおる夜ご飯は格段にちゃうな」
「そう？」
「うん、幸せや俺」
廉はしょっちゅうのように幸せだと口にする
私はその逆で、あまり口にしない。
幸せが増えれば増えるほど
口にしたら 壊れてしまいそうで
溢れたままにする廉の分を
私はすべて受け止めることも出来ないし
この幸せが永遠に続くと
正直思っていない。
いつか終わりが来るだろうって
私はわかっている。
でも目の前の彼は
きっと、わかっていないんだ
純粋にただ今だけの私たちを
こよなく愛する廉に
私は似合わないかな
「なんの顔ですか、その顔は」
「なにが？」
「別になんもないならええけどさ」
廉はほっぺたをパンパンに膨らませたまま
目の前の、あと少ししかない生姜焼きに目を向けたまま
そう言った。
なんにも察してるはずがない
お子ちゃまで弱虫で
肝心なものは 廉の心の中にあるのに
きっと本人も それに気づかない
だから私の心に気づくはずもないのよ。
「ごちそうさま！」
「ごちそうさま。」
「Aもはよお風呂入ってきいよ」
「そうする」
「洗い物は俺がやるよ」
そういう廉に頼り、私はお風呂に入った
綺麗に並ぶジャンプー、リンス、ボディーソープ
少し高いけどライン使いしている化粧品
よく泡立つその洗顔
私の為だと選んで買ったはずのスキンケアは正直、廉の為だった気がするな
廉とずっと一緒にいたい
廉とずっと恋人でいたい
廉のことずっと好きでいたい
私の事、好きでいて欲しい
そんなことしか考えていないのよ、正直。
廉だけがいればそれでいい
そんなふうに言えるまでは
私はまだ 捨て身ではないけれど
でも、たしかに
この世界が終わるなら私は廉の手を握ると思う
この世界が終わっても
私は廉について行くよ。
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なるみ(プロフ) - はじめまして。いつも楽しく拝見させていただいております。エンドロールのパスワードを教えていただきたいです！ (2023年4月14日 12時) (
レス) @page35 id: a37fb134db (このIDを非表示/違反報告)
霞草(プロフ) - 椿さん» コメントありがとうございます。これからもよろしくお願いします○|￣|＿ (2019年11月6日 0時) (レス) id: 402b5f83f6 (このIDを非表示/違反報告)
椿 - 霞草さんのお話めちゃめちゃ大好きで読んでます！今回もすっごい面白かったです！！ (2019年11月3日 8時) (レス) id: e0292a59d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霞草
| 作成日時：2019年10月15日 11時
