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料理が来た。廉は左利きだった。
美味しそうによく食べる人だった。
「お店選んでくれたの？」
「あー、うん。俺和食好きやねん」
「そうなんだ。」
「あ…好きやった？嫌やった？」
目の前の、香ばしく焼かれたお魚を見る。
優しく広がるお味噌の香りとキラキラ光る白い米粒
「ううん、私も和食大好き」
食の好みが同じ
音楽の好みが同じ
たったそういう、偶然でさえ
出会ったばかりのふたりには大切な種だった。
「魚食べるの上手いな」
「こういうのはわりと厳しく言われてきた」
「俺もやわ」
ケラケラと笑う
そんな彼のお皿はすっかり綺麗だった
「ごちそうさま」
「ごちそうさま」
ふたりは手を合わせ
廉は伝票をもって立ち上がった
「え、割り勘にしようよ」
「いやいや出すよ。」
廉は今よりもずっと強引に
お支払いを済ませた。
私はお財布を手に握ったまま、そんな廉の横顔を見ていた
「ご馳走様でした」
「こちらこそ、お付き合いありがとうね」
近くの駅まで歩く
廉は鼻歌を歌った
先程流れていたバンドの
1番売れた曲だった。
冒頭から陳腐な愛のセリフをささやいて
最後のサビまでその歌は男が女を想い続ける歌
「俺この歌一番好き」
「そうなんだ」
「、」
私の名前を呼ぶことに
まだ少し抵抗があるような目線
雨がぽつりぽつりと降り始める
なんだか静かに動く心臓の音
トクン、トクン…
「Aは？」
待ってましたと言わんばかりの私の顔を
見破れるほど廉には余裕がなかったみたい
「私はミツが好き」
「あぁ、あれイントロのギターばりいい。」
「よね、初めに聴いた時に惚れたもん」
わりとアップテンポの曲が多い
私たちが好きなバンドの曲
その中でも珍しいバラード
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なるみ(プロフ) - はじめまして。いつも楽しく拝見させていただいております。エンドロールのパスワードを教えていただきたいです！ (2023年4月14日 12時) (
レス) @page35 id: a37fb134db (このIDを非表示/違反報告)
霞草(プロフ) - 椿さん» コメントありがとうございます。これからもよろしくお願いします○|￣|＿ (2019年11月6日 0時) (レス) id: 402b5f83f6 (このIDを非表示/違反報告)
椿 - 霞草さんのお話めちゃめちゃ大好きで読んでます！今回もすっごい面白かったです！！ (2019年11月3日 8時) (レス) id: e0292a59d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霞草
| 作成日時：2019年10月15日 11時
