傘と飴玉 ページ1
．
「えー、雨とか聞いてない」
私の心を代弁するかのような
全く知らない、同級生の女の子の声に
心の中で激しく同意する。
空ってホント、自分勝手。
私には当分理解できないや。
分かりやすいくらいに
笑ってみたり、泣いてみたり
そんなふうにしてみたら
私だって、
「うわー、雨かよ」
ローファーに履き替えた私の後ろから
とくべつな声がした。
思わず振り返って本当にその声の持ち主がとくべつか 確認する。
あぁ、勘違いだったら
良かったのにな
私はドクンと疼く 分かりやすい心臓に
少し、腹が立った。
おまえも自分勝手だな。
「A、傘持ってるの？」
スニーカーに履き替えた彼は
私の隣に立った
陳腐な私の苗字を呼ばない彼の声。
空を見上げる彼の目を見てみると
すぐ隣に、キラキラと光る瞳があった
私は女子の中じゃ大きい方で
彼は、男子の中で小さい方
並んでしまえば ほとんど差なんてない
「持ってないよ、岩橋くんは？」
「俺も。」
掌を何故か自慢げに見せてくる。
生憎 その瞬間に彼の手相なんてものを
調べられる知識はない。
そんな知識があれば、
恋愛観 とか、もっともっと
彼の全てを知れるかもしれないのに。
「あ、いや、」
何かを思い出したように
リュックを徐ろに探り始め
まるで、宝物を発見した子供のような
あどけない表情を見せた。
また、自分勝手な胸は疼く。
「折り畳み傘〜！！」
ひみつ道具を出す時のテンションで
岩橋くんは 今度こそ自慢げに笑った。
「仕方ないから入れてあげる。」
そう言って また嬉しそうな顔をするから
もしかしたら岩橋くんも なんて
「いつも本貸してくれてるお礼。」
「そんなのいいのに。」
「Aってセンスいいよね
俺の好みとピッタリ！」
何気ない言葉だとしても
私はなんだって、自分の良いように解釈するよ
そんなふうに 脳ができてるんだもん。
校門まで来たとき、
岩橋くんの携帯が鳴った。
その瞬間 私の前で
岩橋くんは、岩橋くんは。
「、この傘貸す。
俺 先約いるんだった」
もっと、わかりやすく言ってよ。
自分勝手な私にも分かるように
易しく 教えてよ
「じゃあまた明日なー」
私に折り畳み傘を握らせて
岩橋くんは もう 行ってしまう
2人だけの空間が ほら 溶けてしまう
分かりにくいよ
ほんと 恋って 吐き気がする。
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霞草(プロフ) - aimiさん» コメント頂けて嬉しいです。久しぶりになにか執筆したいなぁと思ってます！ (2021年10月10日 1時) (
レス) id: cf24c8e438 (このIDを非表示/違反報告)
aimi(プロフ) - あと、燃える心に駆け抜けろの続編が読みたいです。よろしくお願いいたします (2021年10月6日 20時) (レス) id: 7523aceb2d (このIDを非表示/違反報告)
aimi(プロフ) - 私、こういう感じの作品初めて見ました‼️また、書いていただけると嬉しいです‼️ (2021年10月6日 20時) (レス) @page37 id: 7523aceb2d (このIDを非表示/違反報告)
すばりてちゃん - あぁ、やっぱり作者様が紡ぐお話はエモすぎる、と心より思います。いつか私も、作者様のように人を動かせるような言葉を紡げたらと憧れました。陰ながら応援しております。 (2019年12月25日 12時) (レス) id: 9aa5aa9bdc (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 岸くんのストーリー好きです。続編で長編とかも書いてもらいたいです。また、廉くんのストーリーも、番外編でも良いので、ハッピーエンドになるようなお話が読んでみたいです。よろしくお願いします。 (2019年3月24日 7時) (レス) id: 5ca5d758c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霞草
| 作成日時：2019年3月19日 0時
