叶わないはずの恋 Ninomiya (ページ16)

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16 隠している真実（和side）ページ16

バタン

と

玄関のドアが閉まる音を聞きながら俺は自己嫌悪に苛まれていた

和「…何やってんだよ、俺」

逃げられて当然だ

こんなの無理やり襲ったようなものだ

俺は

俺は知っている

Aと血の繫がりがないことを。

あれは両親が出ていく数日前

その時はたまたま眠れなくて夜中に部屋から出た

リビングの前を通った時、言い争っている両親の話し声が聞こえてしまった

父「いい加減にしてくれ！どうして私がお前の連れ子を気にかけなきゃならないんだ」

母「私はAを好きで生んだんじゃないわ！私は被害者なのよ！？

それに連れ子はあなたもでしょう？さも自分はやましいことがないみたいに言わないで」

父「あれはあの女が無理やり押し付けてきた子だ」

驚きが度を超すと頭が真っ白になることを初めて経験した。

俺は物音を立てないように部屋に戻り、すやすや眠っているAを眺めながら声もなく泣いた

こんなことをAが知ったらきっと立ち直れない

だから、隠すと決めた

妹の無邪気な笑顔を守るために

・

・

・

プルルルル…

電話の着信音で暗い過去の記憶から現実に引き戻された

時計を見ると22時を過ぎていた

和「…はい、二宮です」

加『あっ、和くんこんばんは。加音です

こんな遅くに失礼だなと思ったんだけどAが家に来てることは伝えようとおもって』

和「そっか…よかった

迷惑かけてごめん」

加『親友のためならこんなの迷惑でも何でもないよ、でも明日は紳士的に頑張ってね？王子様♪』

電話越しでもわかるからかい交じりの明るい声に、救われる

電話を切って家に一人だと再認識するとやっぱり寂しい

今日ばかりは早く時間が過ぎてほしいと思った