7タイプ(グロ注意) ページ38
目を覚ましたら、やはり僕はずぶ濡れでした。
mb「起きたか」
その声で顔を上げました。
次は何をされるんだろう。いやだ。痛いのも苦しいのも、もう終わりにしたかったんです。
正直に喋っても嘘をついても出してもらえないだろうけど、それでも頭のどこかで生きることを少しだけ、諦めきれませんでした。
演奏したかった曲と、身につけることの出来なかったスーツと靴の事ばかり考えて。
もうできなくても本当に、本当に小さな希望でもすがりたくて。
それが無駄だと気がついたのは足を見てから。
喉の奥から引きつったみたいな声が出ました。だって、だって。
.
.
.
.
.
僕の左足が、膝から下が、存在しなかったから。
足は打ち捨てられるみたいに部屋の隅に置いてありました。つなぐのは、無理でしょう。
兵士が、何も話さないからだと言いました。
話したくても話せないのに。そうしたのは貴方達なのに。
程なくして、兵士は残った右足の膝の周囲にマジックペンでマークをしました。
それで大体分かってしまったんです。
あ、この人、右足も取るつもりだって。
抵抗しました。もう舌は回らないけれど、嫌だやめてくれもう何もしないで何も取らないで、と身をよじって。
......可愛い抵抗、だったんでしょうね。
兵士はそれを笑って押さえつけて、
「見ていろ。」
と言いながらすぐ側の電動のこぎりを手にしました。
血がこぼれて、止まらなくて、肉が骨が神経が無残にちぎられる音がして、のこぎりが稼働する音はうるさくて、でも麻酔が効いているのか痛みもなくて、だから意識を飛ばすこともできない。
体全体が痺れるみたいな振動を感じて、少ししてから、ごとりと足が落ちる音がしました。
多分僕はあの日、一度死んだんです。
他人事みたいに語れるのも、きっと僕が死んでしまったからでしょう。
音楽家のAは死にました。それだけ。只、それだけ。
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Nanaki(プロフ) - ノエルさん» 完結させて頂いた！！コメントありがとうございます！ノエルさんのその一言が次の作品を書く意欲につながります！ (2019年11月17日 23時) (
レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
Nanaki(プロフ) - なみだめさん» おめでとうコメントをありがとう！なみだめさんを楽しませることができて嬉しい！！ (2019年11月17日 23時) (レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
Nanaki(プロフ) - mo4さん» mo4さんのコメントで更新頑張れました！読んで頂けたうえに面白いと言っていただけて幸せです。ありがとうございます！！ (2019年11月17日 23時) (レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
Nanaki(プロフ) - あめさんさん» しっかり読んでくれてありがとうございます！命令系敬語がすき...同士ですね！？いやこれ同士だわ。(確信)次の作品ももし良ければ読みやがれ下さい！ (2019年11月17日 23時) (レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
Nanaki(プロフ) - yukinaさん» ありがっと！次の作品もよろしくです！ (2019年11月17日 23時) (レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Nanaki | 作成日時：2019年11月2日 2時
