九輪 ページ10
「暫くは食堂に顔を出さなくていいから、しっかり療養しなさい」ですって。
私もそう思うわ。
今はしっかり休みなさいね」
優しく微笑みながら言ってくださった方に笑みを返しながら「はい」と頷くと、その方は満足そうに笑った。
「それで……どうしたの?十にぃ」
その後十にぃと一緒に席に着いた私は、早速十にぃに声をかけていた。
すると、十にぃは呆れ半分心配半分のような声で言った。
「お前よォ……別に総悟と仲良くする分には構やしねェけどよ……そろそろ自覚しろよ……」
「え?何を……?」
本当に分からなくて聞き返すと、十にぃはマヨネーズを朝食のお味噌汁の中に入れながら言った。
「もうお前も総悟も18だろ?
危機感持てって言ってんだよ」
「危機感……」
やっぱり分からなくて、十にぃの言ったことを反芻していると、十にぃは小さくため息をついてから、「分かんねェならいい」と言った。
(もしかして……怒らせた?)
焦って私は慌てて謝る。
「ご……ごめんなさい十にぃ。
でも本当に、何に危機感を持てばいいのか分からなくて……」
「いや、Aが謝る必要はねェよ、気にすんな」
そう言って十にぃはぶつぶつ呟きながらマヨネーズがかかったお味噌汁……というか、ただのマヨネーズを掻き込んでいる。
(何回見ても慣れないなぁ……)
そう思いながら見ていると、十にぃは食べ終わってしまったらしく立ち上がる。
「じゃ、俺は行く。
今日は屯所の中でゆっくりしてろよ」
「うん」
頷くと、十にぃは私の頭をよしよし、と撫でてから食堂を出て行った。
.
(さて……今日一日何をして過ごそうかな)
朝食を食べ終わった私は早速時間を持て余し、自室に向かってゆっくりと歩いていた。
(屯所“の中で”って言われちゃったしな……)
この前買った本でも読もうかな……、と考えつき、私はそうして過ごそうと決める。
読もうと思って買ったけれど、結局バタバタしてしまって読めていなかった本。
中身が気になっていたからやっと読めることが嬉しくて、軽い足取りで部屋へと向かった。
.
読書をしていた私は、他の隊士の方に合わせて昼食を食べ、再び自室へと向かっていた。
今読んでいる本は思っていた以上に面白く、ページを捲る手が止められないほど。
(早く続きが読みたいな)
そう思って足早に廊下を進んでいると、後ろから声がかかる。
「あぁ、いたいた。Aちゃん」
「え……?」
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赤羽@美羽(プロフ) - サクラさん» ありがとうございます!そう言っていただけるととても嬉しいです!これからもよろしくお願いします♪ (2020年3月13日 9時) (レス) id: 8b3b438a89 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - めっちゃ面白いです!さっそくお気に入り登録しちゃいました!更新楽しみにしてます、頑張ってください! (2020年3月12日 14時) (レス) id: 319352fe0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤羽@美羽 | 作成日時:2019年9月11日 7時